ホタル百科事典/ホタル保護・保全の課題と手法
これまでの様々な状況を踏まえると、今後の「ホタル保護・保全における課題」は、次に挙げる8つの事柄を守ることが重要です。
では、上の課題を解決しつつ、今後具体的なホタル保護・保全活動を進めていくためには、どのようなことが必要なのでしょうか。
現状を把握し、どのようなことを目的とするのかを明確にすることが必要。
「自然(ホタル)と人間が共存する」里山環境の必要性に関する理念・理想を持ち、地主及び地域社会の認識と理解を得ることが必要。
現存するホタルの生息地の環境を調査するに当たっては、生態学・生物学・環境学をはじめホタルに関する専門的な知識も必要。
調査結果に基づいて現状の問題点や課題を整理し、現存する生息地の環境保全あるいは再生の計画、または新規地域への固有種の移動等の計画を立案する。
環境整備の具体的作業に当たっては、専門的技術が必要。
ホタルの生息、繁殖、発生数は、カワニナのそれに比例するが、あくまでカワニナが自然繁殖することを目的に、その定着度合いをよく調査し、問題があれば環境を改善するという方法をとる。生態系のバランスを無視することは行わない。他の地域のカワニナや貝は絶対に放流しない。
ホタルの幼虫放流は当初3段階に分け(孵化後、11月、翌2月)、毎年の発生数とカワニナの繁殖定着状況によって(孵化後、11月)→(孵化後)→放流なしというように放流そのものを減らしていき、河川で一生を過ごして発生したホタルの数を把握する。
最終的には、生態系の中で自然発生するようにする。それは、種ボタルを採集しない、幼虫の飼育をしない、放流は行わないことであり、結果として乱舞しなくとも、生態系のバランスを無視することは行わない。
ホタルや自然環境の保護・保全・再生の結果は、すぐに出るものではなく長い期間が必要であり、それまでも、そしてそれからも永年に渡って弛まぬ努力を要する。
季節的な「ホタルまつり」を通じてだけでなく、年間継続的にホタルや自然に関する勉強会や観察会を行うとともに、ボランティア団体等による洗剤追放や環境美化、そして自然保護などのPR運動を行ったり、また、地方自治体の制度的なバックアップを得るなどの社会全体の協力も必要である。
地域住民が環境のための3つの”R”をよく理解し実践することが大切である。
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