一眼レフカメラでは、絞りはレンズの中に組み込まれており、光の量を調節して露出をコントロールしています。絞りは f という単位で表し数字が小さくなるほど絞りが開き、沢山の光が入ってきます。絞りは一段あけると光の量は倍になります。
f 1.0 1.4 2.0 2.8 4.0 5.6 8.0 11 16 22 32 45 一段ステップ
絞りは露出だけでなく、被写界深度をコントロールするという役割も果たしています。被写界深度とは、「ピントの合う範囲」のことを言います。絞りを開けると被写界深度の幅が狭くなり、ピントの合う範囲も浅くなります。逆に絞り込むと、被写界深度が深くなり、ピントを合わせた部分の前後もシャープに写るようになります。また、被写界深度は絞りだけでなく、レンズの焦点距離と撮影距離の組み合わせによって決まります。例えば望遠レンズで5m先の蝶を撮影する場合、絞りを開けた状態ではバックはぼけて写ります。マクロレンズで被写体に近づいて撮影する場合でも絞りを開けた状態では、ピントの合う奥行きは、コンマ何ミリしかありません。撮影時に通常は被写界深度をファインダーで確認することは出来ませんが、レンズについてるプレビューボタンを押すことにより、設定した絞り値まで絞り込まれ、ファインダーでピントの合う範囲を確認することが出来ます。
フィルムに光が当たらないように遮光しているシャッター幕の開いている時間のことをシャッタースピードといいます。シャッタースピードを加減して露出をコントロールします。シャッタースピードが早ければフィルムに少ししか光が当たりませんし、逆に遅ければ多くの光が当たります。
開放 1 1/2 1/4 1/8 1/15 1/30 1/60 1/125 1/250 1/500 1/1000
シャッタースピードは、露出をコントロールするだけでなく様々な効果を生み出す役割も果たしています。シャッターが開いている間に被写体が動いてしまうと、ブレとしてフィルムに写ってしまいます。逆に早いシャッタースピードでは、ブレはおきにくく被写体の一瞬を捕らえることができます。例えば、渓流を遅いシャッタースピードで撮影すると、流れが雲のように白く写り、柔らかい表現ができますが、早いシャッタースピードでは、水しぶきもはっきりと写り、とても躍動的な表現ができます。昆虫の接写の場合では、早いシャッタースピードで撮影しないと、被写体がじっとしていないために、ブレた写真になってしまいます。
絞りとシャッタースピードの組み合わせによって露出が決定します。この組み合わせは、一通りだけではありません。例えば f5.6 1/125秒 で適正露出が得られるとします。接写撮影で被写界深度を深くするために f16 まで絞る必要があるときは、シャッタースピードを1/15秒まで落とせば同じ露出が得られます。(ただし、1/15秒では、手ブレの危険性がありますので、三脚が必要)このように、撮影する被写体や表現によって絞りとシャッタースピードを組み合わせて、適正露出を得るように撮影します。
一眼レフカメラには、AE (自動露出機能)が搭載されています。自然写真や昆虫の接写写真では、被写界深度をコントロールする事が多いので、絞り優先AEモードが一番扱いやすいモードです。絞りを自分で決定し、シャッタースピードはカメラが自動で決定するというものです。ただし、絞りばかりに気をつられてシャッタースピードの確認を怠ると、ブレてしまうことがありますので、注意が必要です。