これまで記載した内容はフィルムでの撮り方でしたが、昨今では販売されているホタルの撮影に向くフィルムがほとんどなくなり、デジタルカメラで撮影することに置き換わっています。ここでは、デジタルカメラで撮影する方法について
記述しておきたいと思います。
撮影の方法は2つあります。1つは、フィルムと同じ長時間露光での撮影です。デジタル・カメラでは、3〜4分も露光するとデジタル特有のノイズが出てしまい、それ以上の露光時間ではノイズ・キャンセリングも効かなくなってしまい
ますので、あまり長い時間の露光はできません。露光時間が短いとホタルの光が少なく、物足りなさを感じる方もいるかもしれませんが、写真という結果は、フィルムカメラで撮影した場合と全く同じで、「生態学的価値」もあるでしょう。
2つ目の方法は、日の入り直後の明るい時間帯に背景だけを撮影し、ホタルが飛び始めたらホタルの光だけが写る露出設定で何枚も撮影し、後にPCの画像処理ソフトのレイヤー機能を使って比較明合成する方法を行うという方法です。
見栄えの良い見応えのある写真に仕上がります。
この「比較明合成」という方法は、昨今の「ホタルの成虫が飛びまわる光景」においては、一般的に行われており、美しい写真にすることができますが、撮影する時にカメラの特性上1枚1枚の
間に少なくとも1秒という空白が入ってしまいます。写真は「空間芸術であると同時に時間芸術である。」故に「不連続の時間を一枚にまとめて見せるのは浅慮、浅薄にすぎない」とも言われていますので、その観点からは「創作」であり、
「生態写真ではない」とも言えますが、これまで難しかったことが、美しく表現できるようになったことにより、ホタルの生息環境や生態の研究に役立つこともあります。
ヒメボタル(フィルムと同じ1枚撮り)
Canon 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
バルブ撮影 F1.4 256秒 ISO 1600
※画像をクリックすると拡大表示します。
ヒメボタル(比較明合成)
Canon 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 Z
バルブ撮影 F1.4 2秒×62カット合成 ISO 1600
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