4月突入である。桜はほぼ満開状態。22時に観察したところ、ゲンジボタルの幼虫の姿は1匹も見えない。しかし、石の下で時折、発光していた。毎日、250ccずつ新しい水を補給しているが、それを行い、更に陸地全体に霧吹きをかけた。
2003年4月2日朝からしとしとと1日中降り続く雨。待望の雨ではあるが、気温が10℃以下と低かった。ゲンジボタルの幼虫は気配を伺う様子もない。ただ、今日も石の下で発光している。
九州地方では、上陸したのではないだろうか。
21時に観察したところ、3匹ほど発光していた。5秒ほどの短い発光である。
2003年4月4日22時の観察したところ、石の下ではなく這い回りながら発光していた。1匹だけであったが、かなり強い発光である。
2003年4月6日昨日は雨の1日で、時折みぞれも混じる寒い1日であったが、今日は風は強いもののよく晴れ、満開の桜見物に国立にも大勢の人々が繰り出していた。
ゲンジボタルの幼虫は、カワニナを食べる量は減ったが、まったく食べていないわけではない。1週間で7個ほど食べている。カワニナの殻を取り除くために石の1つを持ち上げたところ、大きな終齢幼虫が3匹隠れていた。60匹の幼虫がどれほど生き残っているのであろうか。
今日は最高気温が20℃を超え、最低気温も10℃を超えた。そしてほぼ1日中雨が降ったり止んだりという状況であった。時折、突風も吹く春の嵐になった。蓋はしているが、飼育水槽にもかなりの雨が当たったようである。今日だけを見れば、風さえ吹いていなければ、かなりゲンジボタルの幼虫の上陸する条件に近いと思うが、最低気温が10℃を超える日がまだまだ少ないということが、上陸しない理由であると思う。ゲンジボタルの幼虫は、人為的な刺激がなくても時々発光している。カワニナもまだ食べている。
水槽内は、ハコベとオオイヌノフグリ、クレソンがかなり茂りだして土が見えなくなりそうである。また、陸地から水中へも垂れ下がるようになり、より自然に近い状況が作り出されてきた。
日中は、5月上旬の陽気となりかなり暖かかったが、午後7時頃より北風が強くなり、気温が急激に下がった。21時の水温は10℃で、前日よりも6℃低い。ゲンジボタルの幼虫は、温度に敏感なのか発光することもなく、皆、石の下に隠れている。
1つ気がかりなことがある。観察できるのが、帰宅後の21時以降であるということである。上陸は20時頃に行われることが多いので、もしかすると、すでに上陸した幼虫がいるかも知れないのである。(仮説からは、まだ上陸しないと思っているが・・・・)
一般の人々は、初夏のゲンジボタルが飛び交う季節にしかゲンジボタルのことは思わないだろうし、一般的にも話題にならないが、こうして生態を観察していると(特に飼育している場合)どの季節においても、ゲンジボタル忘れる日は1日もないのである。
今日は仕事が公休だったので、ゲンジボタルの蛹の観察用(写真撮影用)のケースを手作りする。(5分で完了)厚さ1cmの角材を20cmの長さに3本切り、コの字型に接着する。そして、裏表に透明なプラスチック板を後で取り外しできるように接着した。プラスチック板には、後に黒い紙で覆いをしなければならない。これに土とゲンジボタルの幼虫を入れて、この中で蛹になってもらおうというものである。厚さが1cmであるために、上手くいけば透明なプラスチック板越しに蛹化するところが見られるかも知れない。既に2つほど観察用のケースは用意してあるが、これは土まゆを掘り起こさなければならない。もちろん土まゆの撮影には必要である。しかし、幼虫は土の中で「たて」になって蛹になるので、薄型のケースであれば、蛹を寝かすことなく「たて」のままで見ることができるので良いだろう。
幼虫は、水温が10℃以上の時はよく発光しているが、それ以下の時はほとんど発光しない。また、カワニナはほとんど食べなくなってきている。
午前中は晴れて気温も上がり16℃。夕方より雨が降り出したが、気温は下がらない。ゲンジボタルの幼虫の上陸の条件としては、とてもよい状況だが、まだ上陸はしない。カワニナは全然たべていない。石を1つどかしてみると、その下で3匹がじっとしていた。現在19時でも10℃以上あるが、昨日の最低気温は、4℃である。やはり、最低気温が10℃を下回ることがなくなることが第一条件であるという仮説は正しいのだろうか。
いつになったら、上陸前行動、夜間に水際に待機する行動を行うのであろうか。
昨日は、24.5℃と初夏の陽気になった。今日は平年並みの16℃。昨日、おとといと同じ石をどかしてみたが、そこに隠れていた3匹がいなくなっていた。本日21時に観察したが、幼虫は上からでは1匹も見あたらない。カワニナはまったく食べてられていない。発光も見られない。昼も夜も石の下でじっとしているようだ。まったく這い回っている様子がない。
2003年4月15日 水際で待機か?20時。そっと水槽をみると、水際で発光するゲンジボタルの幼虫が2匹。上陸前行動として、水際で待機する様子と思われる。
水槽はベランダに置いてあり、夜間に直接に人工照明が当たることはないが、自然界の生息地に比べれば、かなり明るいかも知れない。水槽の一面だけ黒い紙で覆い、水部側は直射日光が当たらないようにしてあったが、本日、水槽の全面を黒い板で覆った。ただし、日中は陸地部分に日光が当たるように毎朝、板を取り除き、帰宅後に覆うという作業を行うことにする。観察は、上部の蓋の一部をそっと持ち上げて行う。
22時に観察すると、今日も水際のクレソンの陰で2匹のゲンジボタルの幼虫が発光していた。最低気温も10℃以上の日が続いている。上陸も秒読みか?
23時現在でも、発光している。2〜3秒ほど光ったあと、しばらく止め、また発光するという繰り返しである。カワニナは、まったく食べられていない。
今日は、暖かいというよりも暑かった。夏日に近い気温である。22時での観察では、4匹ほど水際で発光していた。明るくするわけにいかず、合計で何匹のゲンジボタルの幼虫が水際にいるのかわからないが、間違いなく、昼間は石の下におり、夜になると這い回って水際にいるようである。つまり、水際で雨が降るのを待っているのである。雨が降れば上陸である。今度の日曜日には下り坂なので、上陸してくれるだろうか。
過去の経験では、勿論降雨時に上陸するが、必ずしも飼育水槽に雨が当たることはなかった。毎日霧吹きをしているが、霧吹きくらいではだめのようである。湿度の関係か、本当に雨でないとだめなのか。それとも満月が照っているからなのか・・・
*これまでのゲンジボタル幼虫の行動を水温と気温の推移と照らし合わせると、上陸前行動の水際待機は、最低気温が10℃以上になって数日が経過してからおこなわれており、水温の変化とはあまり関係していないように思われる。
23時、相変わらず水際で4〜5匹が発光。水際待機4日目である。明日は天気が下り坂で、日曜日には雨が降る予想だが、もしかしたら、日曜日に上陸するかもしれない。
カワニナをすっかり食べなくなったが、カワニナのストック用水槽では、稚貝がたくさん生まれている。今度、カワニナの採取地に放流してやろう。
日中の気温は夏日の25℃を超えた。水温も21時で21℃ある。霧吹きを1日に数回行ったが、今日も上陸はない。発光している場所を懐中電灯で照らしてみたが、ゲンジボタルの幼虫の姿は見えない。石の陰で発光していたのだろう。驚いたことに、3齢幼虫が3匹、カワニナを食べていた。終齢幼虫60匹のみ入れ、その他の幼虫はすべて放流したはずであったが、当時と同じ備長炭を使っているので、その隙間に入り込んでいた小さな幼虫が成長したものと思われる。
明日は、1日雨という予報なので期待したいところだが、ここは焦らずじっくりと上陸を待とう。毎日のデータ蓄積と観察を怠ってはならない。それが、上陸に関しての生態観察というものである。
1日中小雨が降る日であったが、朝16℃あった水温も少しずつ下がり、21時には12℃まで下がった。気温も同じように朝が最高で少しずつ下がりはじめた。結局、今日も上陸はなかった。日中、大きな備長炭をどけてみると、終齢幼虫が10匹ほど隠れていた。水際の石の陰にも2匹ほど隠れているのが解った。そして、3齢幼虫が少なくとも10匹いることが解った。1月に2齢だったものが成長したのである。
本年は雨の日は多いが、まだまだ気温が低い。自然界でもホタルの成虫の発生は6月下旬以降がピークになるのではないだろうか。
今日は、午前中き霧雨で午後から晴れたが、最高気温は18℃前後で夕方より北風が強くなり冷え込んできた。水温は22時で12℃。しかし、これまでになく、発光するゲンジボタルの幼虫の数が多い。確実に上陸の時を伺っている様子である。
2003年4月24日曇天で気温・湿度ともに高いが、雨がなかなか降らない。これほど雨が待ち遠しいことはあまりない。毎日、上陸用水槽の水部に350ccほど足水をしているが、今日は21時にそれを行ったところ、10数匹の幼虫がその刺激で光り出した。ほとんどが水際で発光していた。ちょっと乗り出せば、もう陸地である。ゲンジボタルの幼虫も上陸の時を今か今かと待っているという様子である。
2003年4月25日 ホタルの幼虫上陸日中から、今日は上陸するのではないかと思う天候であったが、その通り、とうとうゲンジボタルの幼虫が上陸した。21時に水槽を観察すると4匹が発光しながら上陸しており、土の上をあちらこちらと移動していた。水中の時よりも強い発光で10秒ほど光り続けては止めるという繰り返しである。水槽中では、ガラスの壁面近くが好みのようである。2匹を、蛹の撮影用に用意した容器2つにそれぞれ1匹ずつ入れた。
上陸したゲンジボタルの幼虫は、2時間ほど歩き回ったが、水槽コーナー近くの石の下から土の中に潜っていった。撮影用装置の幼虫も土の中に潜ったようである。
上のグラフは25日の気象のデータだが、1日中、気温と水温の差がほとんどなく、しかも、変動が大きくないというのが特徴と言える。そして、湿度はおよそ80%、1日中弱い雨や霧雨が降ったり止んだりという気象であった。
今日は、生息地に観察に出かけたが、天候も回復し初夏の陽気となった。
昨日上陸したゲンジボタルの幼虫は、再び地上に出て来てはいない。そして新たに上陸する幼虫もいない。
毎日、水換えの代わりに300ccほど足水しているが、水部から溢れるように足しているために、陸地部分に自然と染みこんでいる。ただ、水槽そのもののは水漏れするものなので、底に水が溜まることはなく、常に湿り気を帯びている。しかし、1日中日陰であるために、当初植えたハコベ、クレソンが徒長し、枯れた部分が腐りはじめたので、思い切ってすべて地上部は取り除くことにした。根も自然消滅してしまうだろう。代わりにクヌギの落ち葉をまばらに置くことにした。
2003年4月28日なかなか雨が降らない。今日は、帰宅後に水槽内を観察するといつものように水際で発光するゲンジボタル幼虫がいたので、霧吹きをしたところ3匹が上陸をはじめた。気温・水温ともに18℃で無風。最初の上陸は、かなり気象条件に左右されるが、2度目以降の上陸に関しては、それほど神経質さを見せないようである。これは、過去の観察でも同様である。(例えば、晴天でも温度・湿度さえ高ければ上陸している。)
今回も発光しながらかなり這い回り、水槽側面のガラスにも登っているが、撮影しようと別の容器にピンセットでつまんで移動すると、丸くなってまったく動かなくなってしまった。1時間たってもそのままであったので、元の水槽の土の上に戻してやり、霧吹きをしておいた。明日も夜に霧吹きをしてみることにする。
19時に霧吹きをしたところ、21時に5匹が上陸を開始した。屋外は、ひじょうに風が強く吹いており、自然界では絶対に上陸する条件ではないが、水槽は蓋もあり、霧吹きによって擬似的に降雨状態にすることによって、ゲンジボタルの幼虫は上陸する。
前 項[ゲンジボタルの飼育と観察日誌(2003年3月)] / 次 項[ゲンジボタルの飼育と観察日誌(2003年5月)]
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