カワニナがすべて食べられてしまったために、午前中に採取に出かけた。だんだんとカワニナの採取も数が減っている。泥の中に潜っているために採取が困難であるからだ。殻をすべて取り除き、採取した18個を補充する。しばらくすると、3個のカワニナが食べられていた。水温は12℃で安定している。夜間は10℃〜11℃ほどである。幼虫は、あの日以来上陸前行動をしめすものはいない。カワニナを食べている数匹以外は、枯葉や石の下にいるか、石の横で数匹が集まってじっとしている。
まだ、上陸するようなことはないと思うが、念のためにDIYでホタル上陸用水槽の用土を購入した。
これらを混ぜ合わせて上陸用の用土にしようと考えている。保湿性、通気性がよく、雑菌がないことが重要である。装置は2種類用意することを考えている。1つは、15cm×15cm×15cmのものに用土を入れ、上陸しよとする幼虫を直接用土の上に置き、強制的に潜らせようとするものである。これは、後で「まゆ」を掘り起こして撮影するためのものである。もう1つは、大きい水槽に用土を入れ、コーナーに小さな水槽を別に置く方法をとりたいと思う。生態水槽型では、ピ−トモスが強酸性なので水質に悪影響を与える心配があるために、用土と幼虫のいる水場は別々にしたいと思う。用土には、植物の種をまいて後に茂るようにしても良いかも知れない。
今後の幼虫の様子によって、上陸用装置の準備をしようと思う。
例年になく雪の舞うの正月三が日であった。今日は天気も良く比較的暖かい。日差しもどことなく春を感じさせる。室内の飼育水槽の水温は10℃。2日に補充したカワニナは、2個を残してすべて食べられてしまった。水温と幼虫のカワニナの摂食量にはあまり関係がないようである。多くのゲンジボタル幼虫がいるので、どの幼虫がどのくらいの数を食べているのかは不明だが、現在は終齢幼虫の他、5齢ほどの幼虫や3齢ほどの小さい幼虫も食べている。大きな幼虫は1匹対1個のことが多いが、数匹で1個のカワニナを食べているものもいる。小さな幼虫はその仲間入りである。今後1週間は仕事上、カワニナ採取に行くことはできない。強制的に絶食期間を設けるしかないようである。自然界では、この時期食べたくてもなかなか食べることができないであろう。このまま常に餌が豊富の状態を保った場合の成長を観察したいが、1週間ほど我慢してもらうしかないようだ。
上陸前行動はあの日以来一切ない。上陸前行動ではなかったのかも知れない。上陸の予想日は、おそらく水温が15℃以上に上昇した時期であろうと思う。早くて2月下旬、最盛期は3月中旬頃になると思う。
いつでも準備できるよう、日々頭の中で上陸用装置の構想を練っている・・・。今月中には準備を完了したいと思う。
カワニナは昨日ですべて食べ尽くしてしまい、絶食第1日目である。水温は12℃。ほとんどはい回ることなく、石の下や横、落ち葉の下などでじっとしている。今週末にはカワニナを補充する予定であるが、それまでの行動も興味あるところである。幼虫はこれまでの飼育経験からは冬眠(休眠)することはなかったが、低水温で餌が全くない状況では休眠するかも知れない。
2003年1月07日春の七草粥を食べた。7つとも谷戸田に生えているものである。幼虫の上陸用水槽にも植えてみるのも良いかも知れない。覚えておこうと思う。
絶食2日目。暗くなって活動している幼虫は10匹くらいで、残りはじっとしている。カワニナを入れれば、入れ食い状態かもしれない。水温12℃。
毎日、乾燥している。放射冷却で朝の気温は1℃まで下がる。東京は冬真っ盛りである。しかし、日中は風がなく小春日和であった。日差しの強さが少しずつ春に向かっていることを感じさせる。飼育水槽の水温は13℃まで上がった。
下旬には、上陸用水槽の準備を考えているが、参考までにホタル上陸用水槽の用土構成を記しておく。
用土 |
割合 |
|
---|---|---|
8層(上層) |
富士砂、赤玉土(小)、黒土 |
5:4:1 |
7層 |
赤玉土(小)、黒土 |
5:5 |
6層 |
桐生砂 |
1 |
5層 |
赤玉土 |
1 |
4層 |
富士砂 |
1 |
3層 |
骨炭 |
1 |
2層 |
ゴロタ石、木炭 |
5:5 |
1層 |
硅砂、那智石 |
6:4 |
生態水槽では、6層部分に水面がある。実際に幼虫が潜土する部分は7〜8層部分になっている。
小さな観察用の上陸水槽では、2〜3層で十分であると思う。ただし構成用土の種類や配合も変更する必要がある。ポイントは、常に湿った状態でありながら通気性があり、柔らかいこと。そしてカビが生えないことである。幼虫の飼育に備長炭を用いているが、この備長炭を利用、応用することも考えている。
備長炭の一般的効果
幼虫の絶食も4日目になる。様子はそれほど変化がない。じっとしているもの、うろうろはい回るもの、それぞれである。休眠している様子はまったくない。やはり、冬眠(休眠)はしないのであろうか。早く、カワニナをたべさせてやりたい。
昨晩、就寝前(午前1時)に観察すると、落ち葉の下で2匹の幼虫が発光していた。特に刺激を与えなくても発光していた。今後、上陸が近づくにつれて多くの幼虫が盛んに発光するようになるであろう。
今日はとても暖かい。3月上旬の気温だったらしい。春もそこまで来ていると感じる。
NPO法人「東京ホタルの会」というものが発足したらしい。キャッチコピーは、「都会にホタルを」である。飼育方法の研究をし、ビオト−プのコンサルティングをしたり、会員を募って勉強会をし、観察会を開催したりするらしい。私は快く賛成はできない。何故、都会にホタルなのであろうか。理解できない。大切なこと、やるべきことは、もっと別のことであると思うが・・・・。
里山の風景を撮りに早朝からあきる野に出かける。JR東日本・東京工事事務所およびあきる野市が、その場所の保護のために立て看板を設置していた。また、小川の整備などもしているようである。1つ残念なことに、小川の下流部分(昨年はゲンジボタルの飛翔はなかった)の流路を変更するという馬鹿げたことをしていた。一昨年にゲンジボタルの発生があった小川は、水がほとんど干上がってしまっていた。生態調査をしてのことだろうか。何の目的なのか。誰の案なのか。まったく情けない。
その後、青梅市北西部の川へと向かった。3年前にカワニナの生息を確認したかなり上流部分に行ってみる。正月に降った雪がまだ溶けずにたくさん残っていた。天気は良いが、気温は1℃である。寒さのためかカワニナはほとんど見られない。1つ川底の砂に半分埋まるようにしているカワニナがあったので、取り出してみると、ゲンジボタルの4齢幼虫が食い入っていた。3cmを越える大きなカワニナに体が見えなくなるほど食い込んでいる。やはり自然界でも冬眠(休眠)することなく、カワニナを食べている。しかし、この様子ではようやく見つけたカワニナに違いない。
(この川は、少数ではあるが全域に渡ってゲンジボタルが生息していることが解った。)
最後に、いつものカワニナ採取場所に寄り、川底の砂を掘って36個のカワニナを採取した。帰宅後、早速飼育水槽に入れると、幼虫はすぐさまカワニナをむさぼり始めた。
昨日36個のカワニナを補充したが、今朝、観察すると30個のカワニナが食べられていた。1対1やカワニナ1個にゲンジボタル幼虫5匹のものもいる。食べ終わるのに2日〜3日かかるが、1週間の絶食後の食欲はすさまじいものがある。
水温は、13℃になった。外は昨日、今日と3月上旬の気温である。明日は15℃くらいまで上がるという予報である。春の訪れは早いかも知れない。昨年のように早く桜が咲くのだろうか。
東京の日中の最高気温は16℃。4月上旬の桜の咲く頃の気温まで上昇した。今年も異常気象である。飼育水槽の水温は、21時現在で13℃。留守中の日中はもっと上がっていたに違いない。しかし、幼虫の様子は安定している。カワニナの殻を取り除いたが、31個あった。
今後は、週末ごとに30個前後補充するというペースが丁度良いかもしれない。幼虫の8割くらいが、ほぼ終齢幼虫になっている。これまでは、成長のためにカワニナを食べていたが、終齢幼虫のそれは、成長というよりも、今後の上陸から羽化そして成虫期のすべての活動のエネルギーを貯蓄するためである。十分に食べないと上陸もしない。
今日は昨日と違って寒い。真冬へ戻ってしまった。しかし水温は13℃。残りのカワニナがすべて食べられてしまった。そういえば、12月中旬頃から脱皮殻が見られなくなった。食欲があり、カワニナを沢山食べても脱皮していないようである。時折、3齢以下の幼虫もご相伴に預かっているのを見るが、食べているのはほとんどが終齢幼虫なのである。また、面白い行動がある。幼虫が何匹も集まっているのである。石の下や枯葉の下にいるものもいるが、10匹以上が、水槽の角に集まって重なり合っているのである。隠れ場が少ないからなのか、隠れ場が小さいからなのか、あるいは・・・理由は不明である。
それから、先月の上陸前行動と思った幼虫の行動についてであるが、(外側の水槽へ脱走)どうやら、内側の飼育水槽に開いている小さな排出穴から脱走したらしい。上陸前行動ではなく、単なる穴抜けであった。
カワニナを50個補充した。今月中はこれで十分であろう。いつもの採取場所ではなく、水温の低い渓流で採取したものである。
2003年1月19日幼虫たちは、こぞってカワニナを食べるかと思いきや、食べられているカワニナは2個だけである。カワニナが活発すぎて、飼育槽から外側の水槽へとどんどん脱走してしまい、幼虫が襲うことができないのである。水温7℃〜8℃で活発に生活していたカワニナは、飼育水槽の水温12℃では、より活発になったのである。
2003年1月21日カワニナがひじょうに元気である。二重になっている外側の水槽さえも乗り越え、我が家の床面を這っている。そして途中で乾燥してしまい、殻に閉じこもっているのである。今朝方、気づかずに1個踏みつぶしてしまった。もちろんそのまま幼虫に与えたが、肉片むき出しのカワニナを食べてくれるだろうか。
帰宅後に観察すると、1匹の幼虫がむき出しのカワニナの肉にかじりついていた。水換えのついでに殻を取り除くと15個であった。3日で15個というのは、これまでのペースと比べれば、かなり少なくなっている。カワニナの活動が活発で幼虫が捕らえにくいということもあるだろうが、このところ多くの幼虫(終齢)が石の下や特に落ち葉の下で集団でじっとしていることが多い。休眠なのだろうか。これらの幼虫は夜間でもあまり活動せずに、互いに重なり合ってじっとしている。
カワニナを食べているいるゲンジボタル幼虫は2匹だけである。殻は2個あった。すっかり食欲がないようである。水温は13℃。これまでに比べて低くなったわけではない。成長しきった幼虫にとってのエネルギー補給はもう十分なのであろうか。これを休眠というのか、食べたくないのか、食べる必要がないのか・・・・
ただ、水温の低下や低水温と幼虫の成長度合いには関係がなく、また冬眠はしないということは言えそうである。
この室内飼育では、おそらく上陸は3月下旬頃だろうと思う。本年は、自然上陸の他に、強制上陸も試みてみたい。その時期の終齢幼虫を強制的に土の上に置いてやるというものである。他者の報告では、その方法を行うと、数日間は土に潜ったり出たりしながら、しばらくすると土中から出てこなくなり「土まゆ」をつくるとある。写真撮影用に、20×10×10cmの容器に用土を入れて、飼育水槽の壁にへばりつく終齢幼虫を入れてみようと思う。残りは、自然上陸させてその気象との関係を調べてみたいと思う。ポイントは、水温と気温(室温)と日長時間と湿度である。
もうすぐである。
本日、これまでの飼育水槽を大掃除し、幼虫を上陸用水槽に移動した。
幼虫の数は以下のとおりである。
1齢 |
30匹 |
17% |
2齢 |
21匹 |
12% |
3齢 |
34匹 |
20% |
4齢 |
7匹 |
4% |
5齢 |
20匹 |
12% |
終齢 |
60匹 |
35% |
合計 |
172匹 |
100% |
孵化した時に、ゲンジボタル幼虫の数をカウントしなかったので、どのくらいの割合の生存数なのかは不明であるが、おそらく、50%くらいであろう。合計172匹の内訳は上記のとおりである。4齢以上(おそらく今年に羽化する)の幼虫が51%、3齢以下(おそらく来年に羽化)が49%、孵化から5ヶ月経過しても依然として2mm程度の1齢幼虫が存在している。また、すでに30mmを越える終齢幼虫が35%をしめている。
60匹の終齢幼虫のみ、観察用として上陸用水槽に移動し、残りの112匹は事情により生息地に放流した。これらから本年羽化するものは、ほんの数匹であろう。無事に生き残って来年羽化するものもいるかも知れないが、生態系や遺伝的多様性には全く影響がない数であると思う。
今回の飼育は観察(写真撮影)を目的とし、養殖が目的ではない。しかし、1匹メスの産んだ卵から孵化した幼虫を育て、現在終齢幼虫が60匹、これらがすべて羽化するとすれば、これまでの経験になく好成績である。飼育水槽と与えたカワニナの数によるものであろう。本日取り除いたカワニナの殻は、14個。およそ1週間で31個食べていた。
上陸用水槽について(写真画像は後日掲載)
60cm×30cm×40cmのガラス水槽に用土を傾斜を持たせて入れた。一方の低い部分に30cm×20cm×5cmのプラスチックケースを置き、砂や大きめの石、備長炭、落ち葉を入れ、水を張った。濾過装置は使用せず、エアーポンプで空気を送るのみとした。その中に終齢幼虫60匹を移した。カワニナは別の水槽で飼育し、本日は5個だけ入れた。今後は、食べ終えたら少しずつ追加するということにする。
ホタル上陸用水槽の用土構成
黒土* |
60% |
ピ−トモス |
30% |
川砂 |
10% |
*黒土 クヌギの落ち葉(腐葉土として販売されていたもの)をカブトムシの幼虫やダンゴムシ、その他微生物が3年かけて分解して土化したものを、ふるいにかけて使用。
用土配合は、上記のとおりである。特殊な黒土に保湿性と通気性をよくするためにピ−トモスと川砂を混ぜた。この用土はとても柔らかく、保湿性と通気性にも優れている。
上陸用水槽の置き場所は、これまでの室内ではなく、屋外のベランダの軒下である。朝〜12時頃まで日光が当たり、その後は日陰になる場所である。水温はかなり低くなる。夜間は2℃くらいにまで下がるかもしれない。エアーポンプで空気を送っているので、氷は張らないであろう。
水温と日長時間、外気温は、ほぼ自然そのもの変化となった。終齢幼虫60匹が、今後どのような行動を示すのか、興味津々である。
ただ、これまでと違って水量が極端に少なくなっている。備長炭を入れてはあるが、水質悪化に気を配らなければならない。カワニナの投入量も調整が必要である。
朝から冷たい雨模様で、日中の気温は渋谷で3℃であった。帰宅後、上陸用水槽の水温は6℃。懐中電灯で静かに観察すると、幼虫は石の影から頭を覗かせているものや、数匹が集まって1個のカワニナを食べていた。前日の室内飼育時と比べて、急激な水温変化が心配であったが、ほとんど影響はないようである。見る限りでは、これまでの様子とほとんど変わらない。ただ、水換えのタイミングをどうするかである。たったコップ3杯程度の水量しかないのが気になる。
2003年1月28日昨日と違ってとても暖かい。2月下旬から3月上旬の気温らしい。(13℃)帰宅後に水槽を見ると水温は8℃。3匹の幼虫が1個のカワニナをたべていた。上陸用水槽もこれで何とか無事にいけそうである。これから毎日、気温・水温・湿度・日長時間を記録しようと思う。
2003年1月29日寒い!帰宅後に水槽を見ると水温は2℃である。しかし、ゲンジボタル幼虫はカワニナを食べていたり、水底を這っていたりしている。
前 項[ゲンジボタルの飼育と観察日誌(2002年12月)] / 次 項[ゲンジボタルの飼育と観察日誌(2003年2月)]
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