ホタル百科事典/ホタルに関する調査研究レポート

東京にそだつホタル

ホタルの発生(2005年)について

気象条件とホタルの発生

ホタルの幼虫上陸時の降雨について

  東京のホタルの幼虫は例年5月の上旬(ゴールデンウィーク)頃に最も多く行われるが、これは、日長時間、水温、気温と関係している。また、上陸は降雨と大きな関係があり、上陸時期になっても雨が降らなければ、上陸はほとんど行われない可能性がある。

グラフ1.5月の降雨日と降水量
グラフ1.5月の降雨日と降水量

  上のグラフは、2005年5月の降雨日と降水量を表しているが、今年は5月上旬にほとんど雨が降っていない。最初の上陸は、上陸する夜に雨が降っていなければ上陸しないが、その条件の日は6月6日であった。都内O地区で確認した。その後の降雨は、日中に僅かに降る程度の日が続いている。幼虫は6月7日も上陸はしているが、数は少なかった。次に多くの上陸が行われたのは、最初から2週間後の6月23日である。

ホタルの発生と気象について

  降雨は、ホタルの前蛹期、蛹期においては、土を適度に湿らせ、更には羽化後に地上に出てくる時には土を柔らかくして出てくることを容易にする等、重要な役割を果たしている。今年の梅雨入りは、気象庁発表では関東甲信地方6月10日であったが、その後空梅雨状態となっている。都内O地区の発生は6月22日が最初で、降雨の後に地上に出てきた。

グラフ2.6月の降雨日と降水量
グラフ2.6月の降雨日と降水量

グラフ3.6月の平均気温の推移(過去3年間)
グラフ3.6月の平均気温の推移(過去3年間)

  6月の平均気温については、上のグラフのようになる。中旬頃は変動が激しく、中旬以降は上昇傾向にある。これは、空梅雨で晴天が続いたことによる。

有効積算温度とホタルの発生について

  上陸後の前蛹及び蛹の発育には、有効積算温度が一定という法則がある。
(発育零点8.02℃、有効積算温度408.4日度)この計算を今年の場合に当てはめてみると下のグラフになる。

グラフ4.有効積算温度とホタルの発生
グラフ4.有効積算温度とホタルの発生

  都内O地区における幼虫上陸のピークは2回、5月6日と23日である。ホタルの発生初日は、6月22日の降雨後で、その後毎日少しずつ発生数が増えている。27日にも多く発生しているが、これは、積算温度の計算から5月23日に上陸した幼虫であると思われる。17日後の上陸でも、季節が進むにつれ温度も上がるために羽化までの期間が短くなり、その差は5日間になる。

グラフ5.2005年都内O地区のホタル発生数イメージ
グラフ5.2005年都内O地区のホタル発生数イメージ

  ホタルのメスは、オスのホタルの発生からおよそ7〜10日後になることから、2005年の都内O地区における全体的な発生数のイメージは、上のようなグラフになる。


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