ホタル百科事典/ホタルの飼育4-3.

東京にそだつホタル

カワニナ飼育と方法

  ホタルの幼虫にカワニナを与える度にホタルの発生地から採集することはしてはいけません。ですから、ホタルの幼虫とは別の水槽を用意し、同時にカワニナ飼育することは、ホタルを飼育する上で餌として常備する目的上は必要かも知れません。しかしながら、カワニナ飼育も、ホタル飼育同様にカワニナの生態を観察することを目的に行うべきです。

  一般的に、ホタルの幼虫の飼育よりもカワニナ飼育の方が遙かに難しいと言われます。
これは、採取したカワニナをそれまで生息していた所とは全く違う環境である水槽に移すということ、つまり生息していた環境を装置に再現していないことから難しいのです。ホタル飼育の場合、孵化した幼虫の飼育環境(特に水質)を途中で急激に変えたり、渓流に棲んでいた幼虫を採取して持ち帰り、小さな水盤に移せば生存率は高くありません。カワニナの場合も同様なのです。飼育環境で産まれた稚貝は、その環境(水質・底質・水深など)に順応して成長していきます。

カワニナ飼育方法と装置

カワニナ飼育装置

  カワニナ飼育装置は、カワニナの種類によって装置内の様子を変えなければなりません。(図5)流れが速く、比較的深い礫の所に生息するものには、沢山の石灰岩や貝殻を入れ、衝立を立てて面積を増やします。外部濾過装置などを付け、水を浄化させるとともに、水流を作らなければなりません。流れが緩慢で底質が泥や砂状の場所に生息するものには、生息地と同じように砂を敷き、水かさを浅くしてやります。このカワニナを水かさを深くした水槽で、しかも底に砂等何も敷かない水槽で飼育しますと、死んでしまうことがあります。特に、採集してきたカワニナは、環境を急激に変化させてしまうとほとんどが死んでしまうこともあります。稚貝は、産まれた環境に適応しますので、安定した環境を維持するように心がけます。装置は、1日で最低でも4時間くらい直射日光の当たる場所に置きます。ただし、水温が25℃を超えないようにしなければなりません。装置は、ガラスの水槽でもアクリルや塩化ビニール製のものを加工しても良いでしょう。

カワニナ飼育の水質

  カワニナは、特にpHとカルシウムの変動、水道水ならば塩素に気を付けなければなりません。また、水中の溶存酸素量は飽和に近い状態にします。水量の多い2層循環式にし、豊富な水量で水質の安定をはかることが大切です。外部濾過装置も大型のものを取り付け、濾材も好気性バクテリアが大量に繁殖しやすい素焼きの円筒型のものを用いるようにします。骨炭や竹炭、備長炭などは、亜硝酸、アンモニアなどの吸収率も高く、それ自体が好気性バクテリアのすぐれた濾材ともなり、更には水中に各種ミネラルやマイナス・イオンを放出してくれます。

カワニナ飼育の装置図  カワニナ飼育の水槽図
図6.カワニナ飼育装置

カワニナの数

  飼育装置にカワニナの親貝をたくさんいれても、稚貝は育ちません。水質や餌とのバランスを考えると、幅60cmの装置では、親貝の数を10匹以下に抑えるべきでしょう。

カワニナの餌

  カワニナを飼育する場合、餌として芋や瓜、白菜等の葉野菜を与えていらっしゃる方がいます。もちろんこれらもよく食べます。また、水槽に自然と発生した藻類も食べます。しかし、カワニナの繁殖や稚貝を育てるには、タンパク質と脂質を多く含むものを与える必要があります。自然界ではデトリタスからタンパク質を摂取していますが、閉鎖的な飼育水槽内はデトリタス食物連鎖(腐食連鎖)が有効に機能する生態系は再現されません。死んだ魚などを与えると腐食連鎖よりも水の腐敗を促進します。その変わりに熱帯魚用のペレット状のものを与えてもよいでしょう。

  ヘイケボタルの幼虫の場合はタニシやモノアラガイを主として食べます。これら巻き貝のの飼育繁殖はカワニナほど難しくありません。

カワニナ飼育のポイント

  「安定した水質、直射日光、大量の良質な餌、親貝の数とのバランス」が重要であると言えます。

カワニナの観察項目

  カワニナの観察においては、カワニナをホタルの餌として見るのではなく、カワニナという巻き貝の特に生息環境と生態について深く調べていただきたいと思います。生息環境や本当の生態は、水槽飼育では調べることはできません。カワニナの生息地に行って調べることが大切です。ぜひ、カワニナを中心とした生態系について観察していただきたいと思います。そうすれば、ホタルの生息環境の勉強にも役立ち、ホタル保護にもつながります。

  1. カワニナの日周活動
  2. カワニナの繁殖と日照・水質の関係   など

参考:カワニナ


前 項[ホタル飼育の方法と観察内容2]  /  次 項[ホタル飼育における限界

ホタルのために、知識と感性と意識を / Copyright (C) 2001-2016 Yoshihito Furukawa All Rights Reserved.