ホタル百科事典ホタルの飼育と観察日誌

東京にそだつホタル

ヘイケボタルの飼育と観察日誌(1975年)

1975年11月16日

ヘイケボタルの幼虫は、隠れ場所を探している。夜は、活発に動きカワニナを探す。昼間は石の下に隠れている。エアーストーン側の石の下に多くの幼虫が隠れている。

1975年12月05日

相変わらず寒い日が続く。水温が9℃なのにヘイケボタルの幼虫はたいへん元気だ。夏は水温が30℃あったが、その時よりも元気である。カワニナは3個食べられていた。3回脱皮をして大きいものは1cmになった。

ホタルの幼虫の飼育水槽の写真

1975年12月06日

水槽のゴミを取った。スポイトで少しずつ取ったあと、水田で取ってきた水を入れた。ヘイケボタルの幼虫は、這っているものもいれば、石の下にいるものもいる。大小さまざまな体で大きいカワニナに向かっていく。2〜3日で1匹のカワニナを食べ尽くす。

1975年12月13日

ヘイケボタルの幼虫すべてが石の下やカワニナの殻の中にいる。水温は9度。動作が鈍い。ヘイケボタルの幼虫は、石の下から頭だけを出している。

1975年12月17日

19時30分。ヘイケボタルの幼虫は水槽の底や横を這っている。昼は1匹もいなかったのに、夜は50匹くらいいる。幼虫は夜行性だ。

1975年12月30日

10cm×5cmの石をどかしてみると、1cmくらいのヘイケボタルの幼虫が20匹隠れていた。急に明るくなったので、あわてて砂の中に潜っていった。頭だけを出していたが、
5分後に砂の中から出てきて、幼虫同士が絡み合った。

1976年1月16日

夕方水槽を覗くと、カワニナが水面近くまで登ってきていた。20匹くらいのヘイケボタルの幼虫がカワニナを食べている。それも2mmくらいの幼虫だ。1cmくらいの幼虫は1匹しか見あたらない。たぶん石の下に隠れているのだろう。

1976年1月18日  幼虫の冬眠

水底の砂を掘ってみると、ヘイケボタルの幼虫が小さく体を丸めていた。冬眠しているのであろうか?。

1976年1月19日  実験

水道水、砂糖水、塩水を用意して、幼虫を2匹ずつ入れた。15時間半後、塩水の中の幼虫だけ死んでいた。林の中のわき水と石鹸水を用意して、ヘイケボタルの幼虫を1匹ずつ入れた。1時間後、どちらも生きていた。

1976年1月20日  実験2

実験を行った。陰イオン系の合成洗剤を300ccの水に一つまみ入れ、そこに
ヘイケボタルの幼虫も入れてみた。20分後、動くのをやめ、頭を縮める。そしてエラを伸ばし始める。しばらくすると、死んでしまった。

1976年1月25日

顕微鏡でヘイケボタルの幼虫の形態を観察する。50倍で見ると、体全体に繊毛が生えており、体の中には小さい丸いものが(脂肪球)体を動かすたびにあっちへ行ったりこっちへ行ったりしている。

ヘイケボタルの幼虫
ヘイケボタルの幼虫

1976年2月05日

午後から雪が降ってきた。水槽を見ると、幼虫は寒そうに石の下にいた。水温は4℃。

1976年2月15日

一匹のヘイケボタルの幼虫が一匹のカワニナを6日間かかって食べ終えた。

1976年2月16日

今日は幼虫の動きがすごく活発で、砂の上を這っていた。70℃の熱湯を入れてみた。スポイトで少しずつ入れた。水温が10℃になった。でもカワニナは食べていない。

1976年2月17日

20時に水槽を見ると、ヘイケボタルの幼虫がたくさんいた。カワニナは2個食べられていた。水温10℃

1976年2月18日

一個のカワニナに20匹以上の幼虫が群がって食べている。みな小さいヘイケボタルの幼虫だ。別のカワニナを1個入れると、幼虫が集まってきた。体長は5mm。一度食いつくとなかなか離れない。スポイトで吸い取っても離れない。また、70度のお湯を入れた。水温が8℃から12℃になった。過酸化水素水をスポイトで数滴入れた。

1976年2月19日

夕方、ヘイケボタル飼育水槽を見ると、3匹の幼虫がカワニナを食べていた。昨日と同じ幼虫たちである。水温は11℃あり、割と暖かい。別の場所では、1mm足らずの幼虫2匹で1匹のカワニナを食べている。これではカワニナが足りないと思い、カワニナを2匹追加して飼育水槽に入れた。お湯を入れて、水温を20℃に上げた。

1976年2月20日

今日は水温が低く5℃だった。さすがにヘイケボタルの幼虫も元気がない。カワニナも食べていない。

ヘイケボタルの終齢幼虫
ヘイケボタルの終齢幼虫

1976年2月21日  脱皮後のヘイケボタル幼虫死亡事件

17時に水槽を見た。3個のカワニナを食べている。そのうちの1個から巨大なヘイケボタルの幼虫が2匹出てきた。食べ終わったのだろう。何と1.5cmもある。もう1匹は1.3cmある。小さい方はすぐにエアーポンプの下に潜ったが、大きい方は5分ばかりうろついた後、石の下に隠れた。脱皮を終えたばかりの幼虫を見つけた。体が白く透き通っている。スポイトで吸い上げると、とたんに元気がなくなった。あわてて水槽に戻したが、もう死んでいた。可哀想なことをしてしまった。このことから、脱皮したばかりの幼虫は、少しの刺激でもしんでしまうことがわかった。これからは注意をしよう。

1976年2月25日

ヘイケボタルの幼虫に元気がない。カワニナを食べているのはたったの5匹だけである。皆、石の下から出てこない。水温10℃なのに元気がない。動きも鈍い。このままでは皆死んでしまうのではないだろうか。とても心配だ。

1976年2月26日

水槽の水換えをした。発生地の水田から取ってきた水に、過酸化水素水を数滴入れて、2/3ほど換えた。

1976年2月27日

この前は元気がなかったが、今日は元気だ。水温は16℃。ヘイケボタルの幼虫は、カワニナは食べていないが、石の下から頭を出している。何匹か集まって一塊りになって寄り添っている。元気になって本当によかった。

1976年2月28日

午後から、ヘイケボタルの幼虫の上陸用の土を水田に取りに行った。ホーローバットに土を盛り、水を入れた。上陸が待ち遠しい。

ヘイケボタル幼虫の前胸部模様の変化
ヘイケボタル幼虫の前胸部模様の変化

1976年2月29日 上陸

水槽を見ると、水槽の壁をヘイケボタルの幼虫が登り、水面から頭を出していた。
急いで準備しておいた上陸用の水槽にその幼虫を移した。すると幼虫は上陸を始めた。5分後水際から5cm、15分で8cm、20分で12cm移動した。上陸後27分で水際から20cmの盛り上がった場所で土中に潜った。幼虫の体長は約1cm。1.5cmの幼虫も移したが、上陸しなかった。幼虫は全部で11匹移した。今日は南風が強く、湿度は90%ある。


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