ウラジロミドリシジミ(Favonius saphirinus)は、シジミチョウ科オオミドリシジミ属(Favonius属)のゼフィルスである。前翅長は14~20mmとミドリシジミ類としては小型で、翅裏が雌雄ともに銀白色から灰白色であることで、他のミドリシジミ類と容易に区別できる。
東日本ではカシワ、西日本ではナラガシワを食樹とし、国内では、北海道、本州、四国、九州に分布するが、生息地は極めて局所的で、多くの自治体のRDBに絶滅危惧種として記載されている。
ウラジロミドリシジミは、昨年、長野県白馬村にて生息場所を見つけ「 ウラジロミドリシジミ(白馬)」として掲載したが、翅裏の写真だけで、肝心の翅表を撮ることができていなかった。
翅表の色は、学名(Favonius saphirinus)にあるようにサファイアのような青色(ちなみに同属の ハヤシミドリシジミの学名は、ウルトラ・マリン)であり、その色を収めるべく、今年も白馬村に向かったのである。
4日(土)午前3時に自宅を出発し、現地に6時半着。早速、1頭のウラジロミドリシジミを見つけたが、雨が降り出してきた。出発前の天気予報では晴れマークがあったが、大ハズレ!傘を差しながら何枚か撮ったが、この天気では翅を開くはずもない。しだいに本降りとなり、雨雲データを見れば、午前中は止みそうにない。渋々、諦めることに・・・
最新の天気予報では、北陸地方に晴れマークがある。行ってみるかと、国道148号線を北上し、小谷村から糸魚川、北陸道で富山に向かった。一週間前に果たせなかった未見未撮影のチョウを探すためである。このチョウの卵~蛹まで生育する場所は判明しているが、羽化したチョウは生活場所を変え移動する。その場所を突き止めたい。
親不知・子不知を過ぎたPAにて縁起担ぎにカツカレー(華麗に勝つ)を食べ、先週と同じ場所を巡ったが、ポイントにした山頂は霧に包まれ一瞬だけ晴れ。オオミドリシジミは居たものの、目当てのチョウは見つけることができなかった。
16時半。土曜日中には帰ると言って出てきたが、成果なしでは気分が晴れない。そう思いながら5日(日)の白馬村の天気予報を確認すると、6時まで雨で以降は曇りになっている。行くしかない。妻には「日曜の昼に帰る」と(やはり親不知・子不知付近で)メールし、再度、糸魚川、小谷村経由で白馬村に向かった。
白馬村で夕食をとり、車中泊。4時半起床。天気は6時から晴れの予報に!急いで現場に駆け付け、探索開始。ハヤシミドリシジミのオス1頭と2頭のウラジロミドリシジミのオスを見つけたが、昨日見つけたウラジロミドリシジミと同じ個体のオスに的を絞った。この個体は翅裏の模様が特徴的で、しかも小さく、春型のルリシジミと同じくらいしかない。(もう一方のウラジロミドリシジミのオスは、撮影できなかったが、最初メスと間違えた程大きく、また翅裏の模様がはっきりしていた。)
5時20分に翅裏を撮影。三脚にカメラを固定しアングルを決めて、後は翅を開くまで待つだけである。その場で、およそ2時間が経過した頃、ようやく、薄い雲越しに太陽の光が何となく届き始めた。するとウラジロミドリシジミは、動き出したと思ったら、翅を開いて、すぐにカシワの樹冠へ飛んで行ってしまった。開翅時間は、たったの10秒。
ゼフィルスの生態と過去の経験から「翅を擦り合わせた後ゆっくりと全開翅し、完璧な撮影」というイメージでブヨに刺されまくりながら2時間待機していたにも関わらず、 10秒1チャンスで半開翅、3カットという結果であった。ウラジロミドリシジミのサファイア・ブルーは、直射日光では違った色になってしまうから、薄雲りという天候には感謝するが、チョウには、もう少しサービスして欲しかった。
ウラジロミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/160秒 ISO 3200 +1EV(撮影地:長野県白馬村 2015.7.5 5:20)
ウラジロミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影地:長野県白馬村 2015.7.5 7:12)
ウラジロミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影地:長野県白馬村 2015.7.5 7:12)
ウラジロミドリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 1600 +2/3EV(撮影地:長野県白馬村 2015.7.5 7:12)
いつもその行動力に脱帽です(笑)
そして、いつも自分もその場にいるかのような文章、楽しく読ませていただきました!
ウラジロ羨ましいなぁ。。。
ウルトラマリンとは、また違うブルー!!
実にいい色ですね。
ウラジロは是非会ってみたいチョウです。
10秒で飛んでいってしまったとは…早すぎますね(^^;)
またそこが蝶撮影の面白いところです。
でもやっぱり長く見ていたいですよね。
ともきりんさん、こんばんは。
コメントいただきありがとうございます。
ウラジロミドリシジミは、サファイア・ブルーで、とても美しいですよ。
昨年見つけた場所は、確実な生息場所のようで、まだ出始めといった感じでした。
翅を開いたと思ったら飛んで行ってしまいましたので、満足できる写真ではありません。
天気次第では、もう一回挑戦したいと思っております。
エゾ、アイノ、キリシマ、オオイチと予定が続きますが、
土日にお休みがとれるようでしたら、ご案内も可能です。
いやあ、本当にお疲れ様でした。今年の梅雨は本当に雨が多いですね。週末に雨に降られるとお手上げです。カツカレーの成果が少しだけ出たようですね。
多摩NTの住人様、こんばんは。
コメント頂きありがとうございます。
私の挑む戦い(と言っても、笑われる虫撮りですが・・・)は、生態の「知識」と撮影の「技術」と最後は天候の「運」が必要なのですが、どうも運には恵めれないようです。
「運」は自分で切り開こうにも、天気ばかりは仕方ありません。
早く梅雨があけてほしいものですね。
今週末は、晴れの予報が出ていますので、今後は、かつ丼とキットカットを食べて参戦しようと思います。
こんばんは。
ウラジロミドリシジミ、鮮やかなサファイアブル-の色
とても綺麗で引き込まれそうです。
ほんの10秒しか開翅していなかったのに良く綺麗にお撮りに
なられましたね。
今週末はお天気が良いそうなのでご自分が納得される
撮影が出来ると良いですね。
granma様、こんばんは。
コメントいただきありがとうございます。
昨年は翅裏だけの写真しか撮れませんでしたが、
今回は、翅表を半分だけ撮ることができました。
毎年の積み重ねが、少しずつ成果につながってきたように思います。
今週末は、待望の晴れの予報です。納得いくまで挑戦したいと思います。