メスアカミドリシジミ(Chrysozephyrus smaragdinus)は、シジミチョウ科メスアカミドリシジミ属(Chrysozephyrus属)のゼフィルスで、過去に2度撮影し、以下のように当ブログに2回登場している。
ゼフィルスの中でも13種は、オスの翅表の色彩が金属光沢のある青や緑に輝くが、中でもメスアカミドリシジミ属(Chrysozephyrus属)は、最も金属光沢のある緑色に輝くのが特徴である。ただし、翅の色は鱗粉の色ではなく光の干渉による構造色であるため、見る角度とチョウと太陽の位置関係等によって色調が変化し、場合によっては特徴ではない色に見える。メスアカミドリシジミでは、青く見えてしまう事が多い。
過去に掲載した写真においては、一昨年は金属光沢のある緑色に輝く翅表が撮影できたものの距離が遠かったために画質的に難があり、一方、昨年は画質的にはそこそこであるにも関わらず、クリソゼフィルス系の特徴である翅表の輝きが写せず、青い色合いになってしまった。そこで今年、画質と色彩を求めて3度目の挑戦である。
メスアカミドリシジミの撮影には、昨年と同じ場所を選んだ。ミドリシジミ族の中では珍しくヤマザクラ等のサクラ科を食樹としており、撮影に行った生息地には、ヤマザクラがたいへん多く自生しているため、メスアカミドリシジミの個体数が非常に多い。時期的に少し早いと思ったが、到着すれば、既に多くのメスアカミドリシジミが飛び交い、オス同士の卍飛翔が随所で見られた。他のチョウや昆虫もそうであるが、今年は発生が一週間から10日ほど早いようだ。
歩けば、どこにでもメスアカミドリシジミが飛んでいるが、皆、見上げる位置で、葉に止まる場所も高い。しかし、目線よりも下に止まる撮影ポイントが二ヶ所だけある。これは、昨年にロケハンを行って見つけておいたポイントだ。その内一ヶ所でカメラをセットし待機していると、5~6頭ほどのメスアカミドリシジミが飛んできては葉先に止まる。しかし、なかなか良い位置に止まってくれない。「これはいいぞ」と思っても、ピントを合わせている内に別のオスが近づいて、2頭、3頭がクルクルと卍飛翔を繰り広げる。
メスアカミドリシジミの活動時間、すなわち葉先に止まって翅を開く、いわゆるテリトリーを見張る行動(卍飛翔を含む)は、基本的に午前10時頃~午後3時頃までと長いが、止まる葉先は、日光が当たっている場所である。ただ、渓谷では時間とともに日の当たる部分が移動するので、止まる場所も変化する。
到着して1時間ほどが経過すると、すぐ近くの見下ろす場所に止まるようになり、ようやくチャンスが訪れた。他のオスが来なければ、長時間にわたって翅を開いて止まっていてくれる。ファインダーではなく、バックモニターで拡大して慎重にピントを合わせ、カメラの揺れが収まった時にレリーズでシャッターを切った。
東京都内に多く生息し、訪れれば必ず見られるメスアカミドリシジミだが、色彩的にも画質的にも、これが「メスアカミドリシジミ」である!という自己満足的写真が撮れるまで、3年もかかってしまった。
金銭的余裕があれば、昨今販売された SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary を購入したいところだが、掲載写真はすべて、古い中古レンズである Tokina 300mm にテレプラスを付けた600mmで撮影し、ノートリミングで掲載している。
メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F9.0 1/1000秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2015.6.7 13:22)
メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F9.0 1/1000秒 ISO 2500(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2015.6.7 13:38)
メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F9.0 1/800秒 ISO 2500 -1/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2015.6.7 13:37)
メスアカミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F9.0 1/800秒 ISO 2500 -1/3EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2015.6.7 13:47)
こんばんは!
やはりもう発生していましたか!!本当に今年は虫たちの発生は早いですね。
ワタシも様子見がてら行ってみようかと思っていたところでした。
本当にキレイに撮影されていますね(・∀・)
見下ろせるポイント…ワタシも探してみます。
こんにちは。これは綺麗な蝶ですね。光が当たってとても素晴らしい写真です。満足できる作品になって良かったですね。
ともきりんからさん、コメントありがとうございます。
今年は、1週間から10日は早い発生のようです。ピークは今週末かもしれません。
数多く見ることができても、撮影となるとポイント探しが大切です。
足元で触れるくらいの位置に止まる場所がありますので、探してみてください。
ちなみに。土曜日の午後2時ころから、同地区の入り口付近で、ウラクロシジミを狙う予定でおります。
多摩NTの住人様、こんばんは。
自己自慢。自己満足的写真ではありますが、このチョウの美しさをお分かり頂けて恐縮です。
八王子市では確認しておりませんが、檜原村まで行けば、数多く生息しています。
こんな美しいチョウが東京都内で生息していることは、素晴らしいことではないでしょうか。
しかし、実はこの日も昨年同様に採集者がおり、私のように写真を撮っている方が、「10頭採った!」と自慢していた採集者に対して、「いい加減にしろ1」と怒鳴ったとおっしゃっておりました。
彼らの行為は、昆虫採集ではなく、駆除、自然破壊に等しいです。悲しい現実です。
11日に撮影に行ってきました。
キレイな個体がたくさんおりました(^^)
ゆっくり散策したのですが、ホタルさんの仰る下方に停まる場所はワカラズでしたが、なんとか撮影に成功しました!
この日は採集者も他の撮影の方もおらず、のんびり一日楽しむことができました。
帰りがけにウラクロのポイントもルッキングしましたが、余り飛んでいる姿はなかったように見えました。土曜日は残念ながら仕事でいけません(ToT)なかなかタイミングが合いませんね。
素晴らしい写真を楽しみにしております☆
こんにちは、
思わず綺麗なチョウを見てコメントしたくなりました。
メタリックな青緑色に輝く翅に驚きました。
どのお写真もとても素敵に撮れていますね。
見る角度によって変化する色を実際に
いつか見られれば良いなと思います。
自分の欲の為に採集する人には怒りを通り越して
悲しさを感じてしまいます。
ともきりんさん、こんばんは。
綺麗な個体に出会えて良かったですね。
あちこちに飛んでいるので、目移りしてしまいますね。
メスアカミドリシジミを撮影した後、ウラクロシジミの撮影も試みましたが、葉に止まらず飛びまわっていて失敗でした。今日、リベンジに行ったのですが、ほとんどおらず、発生も終わりのようでした。今年は早いです。
また、先週の日曜日には、採集者が乱獲していたと聞きましたので、その影響もあるかもしれません。本当に残念です。
granma様、コメント頂きましてありがとうございます。
こんな美しいチョウを「採れるだけ採る!」というのが、昨今の採集者です。
貴重な種であればあるほど採集の的となり、各地の生息地全てにおいて採りつくすのが、昨今の採集者です。
採集禁止の条例があっても、法を無視して採りさるのが、昨今の採集者です。
自分を正当化し、訳の分からない持論を展開するのが、昨今の採集者です。
採集ツアーなるものもあり、集団で乱獲、いや、駆除して廻ります。
網を持っている輩は、私の敵です!