白樺湖の霧氷は、氷点下5度以下の時に霧や過冷却の雲が流れて付く霧ヶ峰や白樺高原の霧氷とは違う。上高地の大正池の霧氷と同じく、湖上に溜まった湿度の高い空気が放射冷却によって昇華した結果である。白樺湖は、これまで何度も立ち寄っているが、白樺湖の霧氷を見たのは2年前の2月の1回だけ。八千穂高原から佐久経由で訪れたために時間が遅く、疲労もあって撮影できなかったことを悔やんでいたので、今回のチャンスは逃すことができない・・・
風邪による体調不良と気象条件の不一致から撮影遠征を控える週末が続いていたが、毎週、家で1日中ゴロゴロしていたわけではなく、富山市在住のホタル研究家による「ゲンジボタル幼虫の食性」に関する素晴らしい研究成果を監修し、また、ある企業の社有地内におけるゲンジボタル自然発生地の保全に関するコンサルティングを行ったり、理事を務める「日本ホタルの会」の理事会と新年会に出席するなど、ホタルに関する活動で充実した週末を過ごしていた。
それでも、冬ならではの自然風景に出会うために天気・気象状況を日々チェックしていたところ、運よく今週末にその条件が整った。体調は万全ではないが、長引く風邪は、本業の仕事からくる過度のストレスが原因と思われるため、気分転換も兼ねて車を走らせた。
24日(土)午前2時半起床。写真なんか撮らなければ、朝までゆっくりと寝ていられる・・・心の葛藤と戦いながら、午前3時に自宅を出て信州蓼科の白樺高原を目指す。途中にある白樺湖に5時半に到着し、明るくなるまで湖畔の駐車場で休憩。夜が明けて空が白々としてきた頃に白樺高原方面を見たが、残念ながら霧氷はなし。しかしながら、凍結し雪に覆われた白樺湖には美しい光景が広がっていた。
白樺湖は、農業用水を確保するために川を堰き止めて建設された人造湖であるが、もともとシラカバやカラマツ、アシなどの植物が茂る高層湿原であったため、湖畔にシラカバが多く、特に湖の中央にせり出した中州に並ぶシラカバが美しい。そのシラカバすべてに霧氷が付いて真っ白になっているのである。
6時40分。気温は氷点下11度。快晴で無風。まずは、日の出前の冷気漂う様子を撮影。上高地の田代池の霧氷 撮影でもそうだったが、防寒長靴を履いていても足が冷たさで痛い。しかしながら、写真には冷たさや硬さではなく、柔らかさを求めた。次は、シラカバの霧氷に朝日が当たるまで待つ。蓼科山の稜線から太陽が顔を出すまで、その場で50分待機。その後、朝日に白く輝く霧氷を撮り続けた。
朝日が当たる頃に地元ナンバーの車で一人のカメラマンがやってきたが、他には誰も来ない。8時過ぎに撮影を終えて、車に戻って帰る支度をしていると、4台の他県ナンバーの車がやってきて、写真を撮り始めていた。どうやら、霧ヶ峰において霧氷とダイヤモンド・ダスト、サンピラーを狙っていたようだが、ダメだったらしい。白樺湖の霧氷に歓喜の声を上げながら、高級なデジタル一眼レフで手持ち撮影・・・・・。
私自身の写真も「記録ではなく、感動をもとに心に描いた絵を写真として表現した芸術作品」とは言えない駄作ではあるが、1時間半の間に撮影した様々なカット120枚の中から厳選を重ね、何度も現像をやり直した。現像と記事を書くことに、翌日すべての時間を費やしての掲載である。
白樺湖 霧氷
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/15秒 ISO 100 +1EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2015.1.24 6:56)
白樺湖 霧氷
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F3.2 1/800秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2015.1.24 7:35)
白樺湖 霧氷
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/400秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2015.1.24 7:38)
白樺湖 霧氷
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 100 +1/3EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2015.1.24 7:51)
白樺湖 霧氷
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 100 -1/3EV(撮影地:長野県茅野市/白樺湖 2015.1.24 7:52)
こんにちは。
素晴らしい写真に息を飲みました。
流れる霧も、太陽光線も、青い雪も本当に綺麗です。
これは大傑作ですよ。
多摩NTの住人様、こんばんは。
嬉しいお言葉、ありがとうございます。目の前の光景は、本当に美しいものなのですが、この美しい光景を写真にどう残すのかが難しいです。
現場で、もっともっと観察しないといけないなと、帰宅後に写真を見ながら反省しております。
おはようございます。
朝の光を受けた白く輝く白樺の霧氷がとても綺麗ですね。
群生した霧氷と又違った趣きのお写真で素晴らしいです。
どのお写真もそれぞれに良く見ると特徴があって素敵です。
どれが私の好きな写真かなと選ぼうと思いましたが
結局選べませんでした。ということはやはりホタルさんが
厳選なさってアップなさったことが分かりました。
感動的なお写真を見せて頂きありがとうございました。
私ごとですが先日奥多摩の鴨沢付近に撮影会へ行き
川面の輝きを撮ってきました。画像を少しいつもより大きくして
別ブログ「Granmaの四季の彩りアルバム」に数枚載せましたので
ご笑覧して頂ければと思います。
granma様、こんばんは。
厳選といっても、撮影した写真の中からですから、どんぐりの背比べのようなものです。
後から、もっとこうすれば良かったとか、こんな光景も撮れば良かったとか、反省ばかりです。
ただ、美しい風景に出会えたことは確かですので、少しでも、その美しさが伝われば幸いです。
「Granmaの四季の彩りアルバム」を拝見致しました
この姉妹ブログこそ、素晴らしいお写真を厳選されており、どれも美しいものばかりですね。
多分後から来た県外ナンバーというのは私達の事かと思います。
山梨に家はあるのですが、車の事情で久しぶりの山でした。
夜明け時には霧ヶ峰から富士山を撮影しました。その時にはもちろん三脚を使用しております。
白樺湖に私が到着した頃はすっかり陽が上がっていたため、シャッタースピードも十分にとれると判断して手持ちで撮影しました。
人それぞれの撮影スタイルがあると思います。他の人がどのような写真を撮っているのかも知らずに、あまり他人を馬鹿にするような事をブログに書かれない方がよろしいかと思いますよ。
せっかく美しい写真を撮られているのに残念でなりません。
ruru様、はじめまして。
ご訪問いただき、またコメントを頂戴しましてありがとうございます。
削除せず、原文のまま掲載させていただきました。
当日は、私の方こそ残念でなりませんでした。
馬鹿にしたのではなく、「こんな美しい風景を前にして、どうして・・・」そんな思いでした。
私の撮影でも1/400のシャッタースピードですが、それでも三脚は使用します。ミラーアップまでしてレリーズも使います。
「それぞれの撮影スタイル・・・」そんなことは関係ありません。目の前の光景、大自然の美しさに対して敬意を払い、その一瞬を作品にしようとするならば、手持ち撮影は考えられません。
単なるスナップ写真をお撮りになられたのであれば、気になさることもないでしょうが、そうでないならば真摯に受けとめ、今後は三脚、ミラーアップ、レリーズでお撮りになられれば、より一層美しい写真を撮る事ができるのではなでしょうか。