ヤマトシジミ(季節型)

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 ヤマトシジミ(Pseudozizeeria maha)は、カタバミを食草とするもっとも普通に見られるシジミチョウ科のチョウであるが、発生時期によって色彩や形状に変化が生じる「季節型」というものがある。
 季節型は、多くの昆虫において見受けられるが、大きく変化が見られるのは、模様の変化が多いチョウ類であり、サカハチチョウ、ベニシジミ、ナミアゲハ等がよく知られており、前述のシルビアシジミにも存在するが、ここでは「ヤマトシジミの季節型」について過去に撮影した写真を交えて記載したい。
 ヤマトシジミは、羽化する時期によって春型と秋型の低温期型、夏型の高温期型に分けられる。季節型によって翅表の色や斑の形が異なっており、若干の個体差も認められるが、基本的には以下のような特徴(メスにも差があるが、ここではオスの特徴)がある。

  • 春型(低温期型)のオスは、少し光沢のある空色の部分が広く、縁の黒い部分は細くなる。
  • 夏型(高温期型)のオスは、光沢のある青色になり、縁の黒い部分は広くなる。
  • 秋型(低温期型)のオスは、少し光沢のある空色の部分が広く、翅の黒い部分は細くなる。

 ヤマトシジミの卵から孵化した幼虫は、およそ一ヶ月ほどで終齢幼虫まで成長するが、春型や夏型の成虫から生まれて春~初秋の時期に育つ幼虫は、そのまま蛹になり羽化して夏型或いは秋型の成虫になる。しかしながら、秋型の成虫から生まれた幼虫の多くは、終齢幼虫で越冬し、翌春に蛹になり春型の成虫になる。つまり、幼虫時代の日長時間や気温が季節型を決定しており、春型(秋型)と夏型の違いが顕著である。
 尚、春型、夏型、秋型の差は連続的なものなので、年5~6回の発生のうちには、その中間型も出現する。最下段の写真は4月下旬に撮影したものだが、春型の成虫から生まれた幼虫が一ヶ月で成長して羽化し、他の春型の成虫と混在する夏型に近い中間型と言える。

参照:ヤマトシジミ(春型)

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ヤマトシジミ 開翅(春型オス)/ 千葉県鴨川市 4月下旬

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ヤマトシジミ (秋型オス)/ 千葉県鴨川市 10月上旬

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ヤマトシジミ(夏型オス)/ 東京都八王子市 9月下旬

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ヤマトシジミ(中間型オス)/ 千葉県鴨川市 4月下旬

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