シルビアシジミ(Zizina emelina)の夏型を求めて3週連続で千葉県鴨川市の生息地を訪れた。
シルビアシジミには、羽化する時期によって季節型があり、4月頃に1回だけ羽化する「春型」(低温期型)と8月から10月頃にかけて数回羽化する「夏型」(高温期型)がおり、「春型」は大きく青い鱗粉が濃く、「夏型」、特に秋口に羽化する個体は、とても小さい等の形態的特徴がある。これまで同生息地で春型と夏型の撮影をしてはいるものの、いずれも翅が擦れた個体ばかりであったため、今回は、翅の擦れていない夏型個体の翅表の撮影が目的であった。
9月27日では、2頭のシルビアシジミを見つけたが、曇り時々晴れで風が強く、翅を開くことがなかった。翌週の10月4日は、曇天で肌寒く1頭も見つけることができなかった。今年、不思議に思ったことは、普通種であるヤマトシジミも少なかったことである。その年の気候によって変動するので、時期がずれているのかも知れない。
3度目の11日。6日に通過した台風18号の影響が心配されたが、何とか1頭のシルビアシジミを見つけ、翅を開くまで、しぶとく追いかけ待機すると、薄曇りの合間からやっと顔をだした陽を浴びて、ようやく開翅。この個体は、メスであった。メスは、オスよりも青い鱗粉が少なく、残念ながら翅も擦れた個体であった。
シルビアシジミの翅表の色は、どこにでも生息している普通種であるヤマトシジミに比べて地味だが、シルビアシジミは、環境省RDBでは絶滅危惧ⅠB類(EN)、千葉県RDBにおいては絶滅危惧Ⅰ類に記載され、千葉県では更に重要保護生物に指定されている絶滅危惧種でもある。生息環境の悪化が主な原因だが、最新の研究によると、シルビアシジミは地域ごとに異なる遺伝子のタイプをもっており、個体群ごとの遺伝的多様性の低下が懸念されている。また、昆虫類特有の細菌による感染症もあり、今後の生存への悪影響が心配されている。
11日は、シルビアシジミの撮影後に。大多喜町のルーミスシジミの生息地に立ち寄るが、長靴に山ビルがたかってきたので、すぐに退散。次に袖ヶ浦市においてカトリヤンマの生息調査を行ったが、夕暮れまで待機するも現れず撤退。
この時期に、まだ撮っておきたい種類やシーンがあるが、なかなか思うようにはいかない。特に2週連続の台風は予定を大きく狂わせる。11月は、今年最後の未撮影の昆虫を求めての和歌山遠征と自然風景写真の予定が満載だが、10月もまだ半ば。天候次第だが、今月下旬にもう一度、鴨川市のシルビアシジミ生息地を訪れておこうと思う。
シルビアシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 400 +1/3(撮影地:千葉県鴨川市 2014.9.27 7:14)
シルビアシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 250 +1/3(撮影地:千葉県鴨川市 2014.9.27 7:28)
シルビアシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 500 +1/3(撮影地:千葉県鴨川市 2014.9.27 7:55)
シルビアシジミ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F4.0 1/1000秒 ISO 200 +2/3(撮影地:千葉県鴨川市 2014.10.11 8:42)
シルビアシジミ(メスの開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F4.0 1/400秒 ISO 200 +1(撮影地:千葉県鴨川市 2014.10.11 8:46)
こんにちは。
2週連続の台風は参りましたね。
遠出の予定が狂うと、立て直しが大変ですね。
次週は天気が良さそうなので、期待できますね。
多摩NTの住人様、こんばんは。
夜中の台風通過、すごかったですね。
台風は、その時の雨風が困りますが、後々まで影響が残るので厄介です。
花も折れてしまうのではないでしょうか。