タカネトンボ(Somatochlora uchidai)は、エゾトンボ科の中で最も普通に見られる種で、過去に2回、「タカネトンボ」と「タカネトンボ(飛翔)」で紹介しているが、今回は、産卵の撮影に挑戦した。
今月は、ホタル関係で忙しく、昆虫と自然風景の撮影は一切予定をしていなかったが、三連休の後半14日、15日と時間がとれたので、久しぶりに東京都あきる野市にある里山を訪れた。撮影済みの昆虫でも、生態写真となれば未撮影のシーンは多い。今回は、「タカネトンボの産卵」をメインの目的として生息する池へと向かった。
タカネトンボは、薄暗い環境を好み、丘陵地から低山地にかけての、周囲を樹林に囲まれた閉鎖的で小規模な池沼などに生息しており、訪れた里山では、2か所の池で見ることができる。到着すると、オスのタカネトンボがメスを探すためのパトロール中であった。うす暗い池の周囲を岸に沿って少し進んでは1秒ほどのホバリングを繰り返している。5分ほど経つと、上空高く舞い上がり、樹林の中へと消えていく。
オスがいなくなってしばらくするとメスがやってくる。オスがパトロールする隙をねらって産卵に入るのである。観察していると、産卵の仕方が面白い。タカネトンボのメスは、一度、池に腹部を付けて腹端に水を含ませ、その後、泥の岸辺や苔むした石等に卵と水滴を一緒に飛ばして貼り付けるのである。そのためだろうか、メスの産卵時の腹端は大きく上下に開いている。
しばらくするとオスが飛来し、メスを見つけるとあっという間にタンデムになり、一気に高い木の梢へと連れ去ってしまった。
肉眼での観察は容易だが、これを写真に収めるのはかなり難しい。薄暗い中で細かに動くタカネトンボにピントを合わせることができない。ストロボを使わなければブレてしまうのでストロボを使うが、連写ができず、シャッターチャンスを逃すことも多い。「タカネトンボの産卵」は、撮影難易度の高いシーンである。攻略法を考え、機会があれば再挑戦したい。
タカネトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F4.0 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:東京都あきる野市 2014.9.14)
タカネトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F4.0 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:東京都あきる野市 2014.9.15)
タカネトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F4.0 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:東京都あきる野市 2014.9.15)
タカネトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F4.0 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:東京都あきる野市 2014.9.15)
タカネトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F4.0 1/160秒 ISO 3200 +1 1/3EV(撮影地:東京都あきる野市 2014.9.15)
タカネトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
こんにちは。
私は止まっているトンボを撮るのを一苦労するのに、ホタルさんはさすがですね。見事な写真だと思います。なるほどストロボを利用しているんですね。
多摩NTの住人様、コメントありがとうございます。
動画をご覧いただいてお分かりのように、動きが素早く、しかも薄暗い場所なので、ピント合わせができません。お恥ずかしい出来なのですが、証拠写真としての掲載です。
色々と試行錯誤して、再挑戦したいと思います。