オオゴマシジミ(Maculinea arionides)は、シジミチョウ科ゴマシジミ属(Maculinea属)で、翅を広げた大きさが40mm前後もある大型のシジミチョウである。北海道渡島半島および本州東北~中部地方の高山に分布し、西限は飛騨山脈である。食草であるカメバヒキオコシ(オドリコソウ科)の群落が存在する落葉広葉樹林内の開けた草地や沢沿いの草地等に生息するが、生息地はたいへん局所的である。
河川上流部の改修や除草剤の散布、採集家による乱獲により、各地で著しく減少しており、環境省RDBでは準絶滅危惧に、生息地のある道県のほとんどで絶滅危惧種に選定している。
オオゴマシジミの生態は、たいへん特殊で、幼虫は孵化から2週間足らずの間にカメバヒキオコシの蕾や花を食べて終齢幼虫となる。その後はシワクシケアリによって巣に運びこまれ、巣内でアリの卵や幼虫を食べて成長するのである。
オオゴマシジミの撮影は、今回が初挑戦であったが、先月のロケハンが功を奏し何とか写すことができた。ポイントに辿り着くと、網を持った先客が一人。無視をしながら三脚にカメラを撮りつけてスタンバイしていると、話しかけてきた。「オオゴマ狙いですか?・・・」高知県からわざわざ来たという。前日に採集した高山蝶を三角ケースから自慢げに取り出し、私に見せつけた。しばらくすると、網を持った輩が二人到着。狭い生息地にカメラマン1名に採集者3名。一応、私への気遣いなのだろう。無視をしているとやはり話しかけてきた。「オオゴマ狙いですか?・・・」大阪から来たという。
さて、待機して30分ほどすると日が差し始め、オオゴマシジミがチラホラと飛び始めた。全部で4頭を確認する。葉の上に止まり開翅。何枚か撮影する。私の撮影が終了すると、確認できたすべてのオオゴマシジミは、採集者の網の中へと消えて行った。条例で採集禁止にしない限り、この地のオオゴマシジミは採集により絶滅する日も近いだろう。環境省等のレッドデータブックにも法的拘束力を持たせなと、オオゴマシジミに限らず、違法でない地区に生息する絶滅危惧種は、すべて捕りつくされ、標本箱に並ぶことになるだろう。
帰りがけに別の場所でもオオゴマシジミを見つけて撮影したが、羽化不全のため右の前翅が伸びきっておらず、シワシワな状態。きっとこの個体は捕られずに生き延びることができるだろう。
オオゴマシジミは、初見初撮影の種で、当ブログのリスト「鱗翅目」で120種類目となる。
オオゴマシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/1000秒 ISO 3200(撮影地:岐阜県高山市 2014.8.3)
オオゴマシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 2500(撮影地:岐阜県高山市 2014.8.3)
オオゴマシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 2500 -2/3EV(撮影地:岐阜県高山市 2014.8.3)
オオゴマシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 3200(撮影地:岐阜県高山市 2014.8.3)
オオゴマシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F3.5 1/500秒 ISO 200(撮影地:岐阜県高山市 2014.8.3)
オオゴマシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F3.5 1/800秒 ISO 200(撮影地:岐阜県高山市 2014.8.3)
こんにちは。
採集者とのやりとりは緊迫感がありますね。
彼らにも言い分があるのでしょうが、蝶が好きなら絶滅危惧を考えて欲しいですね。
ともあれ120種目の撮影成功、おめでとうございます。
多摩NTの住人様、こんばんは。
前回のフルマラソンは途中でリタイヤでしたが、今回の10kmマラソンは、完走した気分です。
さて、採集者の言い分には、納得できる言葉は1つもありません。珍しい種類ほど集めたくなるのです。生息地から排除して、自宅の箱に並べるだけの収集です。植物でも同じですよね。貴重な植物をすべて掘り起こして持ち帰り、自宅の庭に植えて眺めて楽しむだけなら、自然破壊だと思います。