オオトラフトンボ

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 オオトラフトンボ(Epitheca bimaculata sibirica)は、エゾトンボ科の北方系トンボで、北海道と本州(長野県以北)に分布し、北海道や青森県等では、平地の池でも見られる。その他の地域では、標高の高い寒冷地の山岳地域の森林に囲まれた池に生息しているが、局所的で数も少ない。
 6月中旬頃に羽化し、未熟な個体は、池から離れた林内で生活し、成熟すると池に戻り、8月上旬頃まで見ることができる。同属のトラフトンボに似るが、一回り大きい。
 オオトラフトンボは、環境省RDBにはないが、撮影した群馬県のRDBでは絶滅危惧ⅠA類に選定されている。

 オオトラフトンボの撮影は、過去に2回ほど新潟県の池を訪れているが、時期が合わずに見ることすらできていなかった。そこで今回は、日光白根山(標高2,578m)にある弥陀ヶ池(標高2,250m)を訪れた。オオトラフトンボは、栃木県側の五色沼にも生息し、栃木県では唯一の生息地となっている。
 池に到着すると、池の辺を飛ぶメスのオオトラフトンボを見つけ、しばらく目で追っていると、小さな虫を捕まえた後、木の枝先に止まったので、静止画を撮ることができた。
 エゾトンボ属は、複眼がメタリック・グリーンに輝くのが特徴だが、撮影したメスの個体は、複眼が色づいておらず、まだ成熟していないようである。池の周囲をパトロールするオスのオオトラフトンボも見られなかった。成熟期は、8月上旬であると思われる。来年は、成熟した美しい複眼の個体と産卵の様子を観察したい。
 弥陀ヶ池では、他にカラカネトンボ、タカネトンボもいたが、撮影はできなかった。

 オオトラフトンボは、初見初撮影の種で、当ブログの昆虫リスト蜻蛉目で98種目となる。

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オオトラフトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地:群馬県片品村 2014.7.26)

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オオトラフトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 3200 +1/3EV(撮影地:群馬県片品村 2014.7.26)

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オオトラフトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 3200 +1/3EV(撮影地:群馬県片品村 2014.7.26)

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オオトラフトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 3200 +1/3EV(撮影地:群馬県片品村 2014.7.26)

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オオトラフトンボ(羽化殻)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 3200 +2/3EV(撮影地:群馬県片品村 2014.7.26)

 さて、勝負の7月、最後の休日。25日の夜に出発し、26日の午前4時から奥日光にてゼフィルス探索。しかし、時期が早すぎて見つからず。移動して8時に日光白根山のロープウェイに乗る。山頂駅(標高2,000m)から弥陀ヶ池までは、距離にしておよそ2.7km、標高差250mだが、登って降りるので、実際はおよそ300mの登り。
 しばらくは、ゆるい上り坂で調子良く歩いていたが、途中から想像を絶する急斜面の連続。これほどの登りは過去に経験がない。東京タワーを階段で下から上まで上がるようなものだ。2時間かかって池に到着し、1時間かけてオオトラフトンボを撮影。
 午後1時に白根山の麓の駐車場を出発し、今度は、長野県の上高地へ向かう。国道120号線で沼田へ出て、関越道、上信越道を経て、長野道の松本ICで降り、浅間温泉で立ち寄り湯に入り、夕食を済ませた後、沢渡へ向かった。20時に駐車場に到着し、車内泊。
 翌27日。午前4時半に予約したタクシーで上高地へ向かう。5時10分前に釜トンネルの門が開いてターミナルで下車。そこから河童橋、明神池を通り、徳澤園の先にある橋までおよそ7.5kmを歩く。
 目標は、未撮影のチョウであったが、天候は、曇り時々雨、または晴れ。常に強風。天気が急変したとの知らせ。次から次へと黒い雲が流れ、穂高も見えない。当然、チョウの姿も無い。仕方なく河童橋へ戻るのだが、明神池の手前1kmのところで、豪雨に突風・・・まるで台風のようであった。前日と同じ好天と思って上高地入りしたが、このような悪天候になるとは思わなかった。カメラをカバンから出すことなく、15km歩いただけ。11時半のバスで沢渡へ戻った。
 奥日光、上高地遠征の二日間の走行距離は780km、歩いた距離は22km、歩いた時間12時間、撮影できたのは、掲載のオオトラフトンボのみであった。

 7月全体では、初撮影の種5種類、計画に対して70%の達成率である。経験上、初見の絶滅危惧種ともなれば、最低2回以上は生息地を訪れなければ撮影はできないから、撮影が叶わなかった種に関しては、ロケハンが来年の成功への布石となるだろう。
 8月は、2週に渡って再び長野遠征を予定しており、未撮影の種4種類の撮影が目標である。

コメント(2)

こんにちは。
780キロを移動して、22キロを12時間歩き、睡眠も車中とは、本当に驚きです。それだけの体力と精神力はフルマラソン並みですよ。
8月の4種類が見つかると良いですね。

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