さる6月28日、「ホタル写真撮影講習会」を開催し、無事に終了致しました。やはり、自然に飛び交うホタルの姿には、感動します。雨の中、ご参加下さいました皆様、ありがとうございました。そして、お疲れさまでした。
今回、小学校時代からの親友の提案で、初めて「ホタルの写真撮影講習会」を企画致しました。色々と反省点もありましたので、来年は、より楽しく、そして多くを学んで頂けるよう取り組んで参りたいと思っております。
天候や諸事情により、ご参加できなかった皆様も、来年は、ぜひご参加ください。また、今後はホタルだけではなく、里山という自然環境やそこに生息する昆虫等の観察会や写真撮影会も行いたいと考えておりますので、そうぞ、よろしくお願い申し上げます。
東京ゲンジボタル研究所 代表 古河義仁
掲載の写真は、過去に撮影したものですが、「ホタルの写真撮影講習会」を行った場所での「小川を舞うゲンジボタル」の様子です。撮影会の日も同様に、光りながら飛ぶ姿を観察できました。
小川を舞うゲンジボタル
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
バルブ撮影 F1.4 60秒 ISO 200 (撮影地:東京都あきる野市)
さて、東京都内では、ゲンジボタルは七夕くらいまで、関東の範囲では、ヒメボタルが7月下旬まで、ヘイケボタルは8月上旬まで見ることができます。まだまだ、ホタルの観察、観賞、そして撮影のチャンスはあります。そこで、観賞する方々はもとより、時にホタルの写真を撮る方々に、1つ考えて頂きたいことがあります。そして議論していただきたいと思います。
あるプロの写真家が、以前、自身のブログにホタルのマクロ写真を掲載していたのですが、それは、ホタルの生息地において、接写する際にストロボを使用したものでした。そして、ホタルにストロボを当てる撮影方法も記述してありました。
私は、その記事に対して「ホタルの生息地では、絶対にストロボを発光させることも、懐中電灯をホタルに向けることもしてはなりません。これは最低限のマナーであり、エコツーリズムの観点からも守るべきことだと思います。」というコメントを投稿しました。それに対しての返答はこうでした。
「私には極論に感じられました。 懐中電灯の明かりやストロボの発光が、ホタルの繁殖行動に目くじらを立てるほどに悪影響を及ぼすのなら、なぜ、町の中の光がたくさん存在しホタルの活動時間帯に車が絶えず通るような場所にも、ホタルが多数生息する場所があるのでしょうか? あなたは、ホタルの観察に出かける際に、ヘッドライトをつけた車に乗ることはないのでしょうか?
ホタル愛好家が自分たちが好きなホタルの見方を、自然保護の名目で押しつけようとしていませんか?そもそもマナーは、人それぞれが自分なりに一生懸命に考えることであり、他人に押し付ける筋合いのものではないと考えます。 ホタルを大切にしましょうという主張は、ホタルのためではなくて、突き詰めると、ホタルを好きな誰かのためなのです。人間が存在しないのなら、実はホタルはどうなってもいいのです。
"ホタルの生息地内では、ストロボを控えるべきです。"などとは、せいぜい自分のホームページ内だけで主張すべきことだと思うのです。・・・」(原文)
ホタル(ゲンジボタル)は、2~3週間の発生期間で繁殖しますが、毎晩、その機会に恵まれるわけではありません。ホタルは、変温動物ですから気温が低ければ、活動は鈍くなります。雨は平気ですが、風が強ければオスは飛ぶことができず、メスを探すことができなくなります。
また、発光コミュニケーションでのみ繁殖活動を行うので、満月でさえオスはメスの発光を見つけることが困難になるのです。つまり、発生期間でも、満足に繁殖活動が行えるのはわずかな日数しかありません。町明かりや車のライトは、生息場所全てを均等に照らすことはなく、必ず暗い空間があり、ホタルはその暗い場所で繁殖行動をします。にも関わらず、ホタルに直接ストロボや懐中電灯を当てることは「光害」であり、繁殖の少ないチャンスを人間の勝手な行為で奪ってしまいます。自分一人だけなら良いのでしょうか。このような考えをもった人間が、何人も毎晩生息地を訪れたらどうなるでしょうか?
私たちは、ホタルが生活している場所(自然環境)にお邪魔して、彼らの生活(発光)を見させて頂くのです。ホタルの生態を理解することなく、美しい写真を撮るために身勝手な行為をする写真家は、「プロ」と言えるでしょうか?どんなに美しい写真を撮っても、評価には値しません。
私自身も、ホタルの撮影にストロボを使用したことがあります。しかし、それはホタルの生息地内ではなく、すべて飼育して羽化させた成虫を自宅室内のセットにて撮影したものです。
参考資料・文献
- ホタルに及ぼす人工照明の影響(光害)とその対策
- 蛍の出生と光強度の影響についての調査及び実験
- ゲンジボタルの成育条件と生存率 上陸,羽化,産卵における光の影響
- 居住地域における光環境の景観評価~ホタルを指標としたGISによる解析~
- ゲンジボタル・ヘイケボタル幼虫に対するLED照明の影響 土木学会論文集G Vol.65No.1,1-7,2009.2
ところで、28日は、午前3時に自宅を出発し、甲府市内の山へ。林道が途中で通行止めで、そこから徒歩で片道1時間半かけて山頂へ。しかし、目指すチョウはなし。どうやら、鹿の食害(食草)のほか、絶え間ない採集者による乱獲で絶滅したようだ。一旦、自宅に戻り、宿題にしていた本業の仕事を片付けて、ホタル写真撮影講習会へ。
翌29日は、午前6時に出発して、千葉県の河川敷にて未撮影のトンボを探索するも、30分で土砂降りの雨。あえなく退散。したがって、今週は記事もなし。
来月は、いよいよ勝負の7月。次の週末は、福島、新潟遠征の予定。目的を達成して帰ってきたい。
こんにちは。
講習会はお疲れ様でした。
参加できずに残念でしたが、いつか時間ができたら参加させていただきます。
多摩NTの住人様、コメントありがとうございます。
反省点を踏まえて、例年はもっと参加しやすいように改善し、
私の自然に対する考え方やホタルへの接し方を
多くの方々に知っていただきたく思っております。
ホタルだけではなく里山観察会など行っていきたいと考えておりますので、
その際は、よろしくお願い申し上げます。
古河さま
こんにちは。
先日のホタル撮影会無事開催され、観察もできたのですね!わたくしは参加できずすごく残念でしたが、会が成功されましたこと本当にうれしく思います。来年こそはぜひ参加したいです。
>関東の範囲では、ヒメボタルが7月下旬まで、ヘイケボタルは8月上旬まで見ることができます。
どこで観察できるか教えていただくことは可能でしょうか?
>昆虫等の観察会や写真撮影会も行いたいと考えておりますので
ぜひぜひお願いいたします!とても楽しみにしております。
川上様、コメントありがとうございます。
雨さえ降っていなければ・・・今後は、色々と企画していきたいと思っておりますので、
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
ホタルの生息地は、申し訳ございません。この場やメールでは控えさせていただきます。