アオヤンマ(Aeschnophlebia longistigma)は、2011年6月にアオヤンマ、 2012年6月にアオヤンマ(オス)として掲載しているが、産卵の様子を観察し、撮影する目的で、2年ぶりに千葉県の池を訪れた。
環境省RDBに準絶滅危惧(NT)として記載され、千葉県のRDBでは絶滅危惧Ⅰ類に記載されているアオヤンマ。今年も、見られるだろうか・・・そんな思いで午前6時に現地入り。まだ、アオヤンマは飛んでいない。準備を済ませ、池の辺で待機すること30分。オスのアオヤンマが飛び始めた。これまでより2週間ほど早く訪れたが、数多くのアオヤンマが羽化しているようで一安心。
アオヤンマは、池から陸地の方まで飛びまわりながら、まずは飛んでいる小さな昆虫を捕まえての食事タイム。捕らえた虫は、池の中のアシ等に止まって食べる。時折、5~6mほどの高さまで飛んで、池の周りの高木の枝にも止まることもある。
アオヤンマの静止写真は、根気と運の良さが必要である。なるべく近くで、しかも茎や枝が込み合っていない場所に止まるのを待つしかない。
アオヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/640秒 ISO 3200(撮影地:千葉県 2014.5.24 7:09)
アオヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 3200(撮影地:千葉県 2014.5.24 9:33)
アオヤンマ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 3200(撮影地:千葉県 2014.5.24 9:38)
さて、食事を終えたアオヤンマのオスは、アシの茂みの中を飛び回る。アシの葉に翅をぶつけて、時々、バサバサと音をたてながら、メスを探して飛びまわるのである。ホバリングは一切行わない。体色がアシの葉と同じだから、すぐに見失ってしまう。
茂みの中でメスを見つけると交尾をするが、ほとんどの場合、連結したまま空高く舞い上がり、池の周囲の高木の枝に止まるようだ。(連結飛翔の瞬間は、2011年に撮影)
アオヤンマ(交尾)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 2500 -1/3EV(撮影地:千葉県 2014.5.24 8:42)
アオヤンマ(交尾)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/640秒 ISO 3200(撮影地:千葉県 2014.5.24 9:34)
交尾を終えたアオヤンマのメスは、産卵のために池へ戻って、アシの茂みの中へと入っていく。産卵場所の選択基準は不明だが、ある一本のアシに止まると、茎につかまりながら下方へと降りていく。そして産卵管を茎に差して産卵を開始する。
ムカシトンボの時もそうであったが、アオヤンマのメスも産卵に集中すると、カメラを近づけても平気である。最初は、600mmで遠くから撮影していたが、徐々に近づいて90mmマクロに、最後は15mmの魚眼レンズで5cmほどまで近づいて、周囲の景観も含めて撮影することができた。
アオヤンマ(産卵)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F11 1/800秒 ISO 3200 -1/3EV(撮影地:千葉県 2014.5.24 8:49)
アオヤンマ(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F2.8 1/320秒 ISO 200(撮影地:千葉県 2014.5.24 9:07)
アオヤンマ(産卵)
Canon EOS 7D / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE
絞り優先AE F2.8 1/500秒 ISO 200 +1/3EV(撮影地:千葉県 2014.5.24 9:16)
産卵は、27分間に及んだ。その間にオスが何度も飛来したが、オスは、産卵中のメスには興味がないのか、あるいは見つけられなかったのか、そのまま行き過ぎていった。
産卵を終えたメスは、体力を消耗するのだろう。茎につかまっているのもやっとのようだったが、10数分後には飛びたって、アシの茂みの中へと消えていった。
アオヤンマ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 2000(撮影地:千葉県 2014.5.24 10:04)
アオヤンマの産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1 / SIGMA 15mm F2.8 EX DG DIAGONAL FISHEYE
今回、池に4時間半滞在し、アオヤンマのオスとメスの静止写真、交尾写真、産卵写真を撮影し、その一部始終を観察することもできた。来年は、ヤゴから成虫になる羽化のシーンを撮影したいと思う。
この日は、午後から千葉県の袖ヶ浦に移動し、早くも5月17日から発生しているというゲンジボタルの様子を観察した。いよいよ、関東でもホタルが舞う季節である。
こんばんは。
アオヤンマの撮影、丁寧に時間をかけてなさったのですね。
いつもじっくり観察しながら撮っていらして
感心してしまいます。
アオヤンマを見つけてから産卵し終わるまでの
お写真ドラマを見ているようでした。
5月も末なのでホタルが飛ぶ時期になって来たのですね。
お写真、たのしみにしています。
granma様、コメントありがとうございます。
アオヤンマは、子供の頃から憧れていたヤンマで、絶滅危惧種ということもあり、身近な存在ではないので、見るたびにワクワクするトンボの一種です。
何度か撮影していますので、今回は、生態学的な写真を目的として、産卵を終えるまでの一部始終を捉えるために出かけてきました。写真は、一生の内のほんの一部分でしかありませんが、ドラマを感じていただけて、うれしく思います。
ようやく、関東でもホタルが舞う季節となりました。今年は、いくつかの地域で観察し、写真も撮ってこようと思っております。
機会があれば、granma様も是非ホタルの飛び交う様をご覧になってください。
こんにちは。
アオヤンマは絶滅危惧種でしたか。
子供の頃、よく追っかけた記憶がありますが、それがこのアオヤンマだったかどうか。
以前も書いたかもしれませんが、子供の頃、 “チャン" と呼んでいたヤンマがいました。
多摩NTの住人様、コメントありがとうございます。
「チャン」と呼んでいたヤンマは、ギンヤンマかも知れません。
私のとってアオヤンマは、憧れを越えて幻に近い存在でしたから、以前も生息地は限られた場所だったと思います。
どんな種類であれ、ヤンマは、子供の憧れでしたね。
(大人になっても、ヤンマを追いかていますが・・・)