ムカシトンボの産卵の様子を観察し撮影するために、先週に引き続き同じ沢を訪れた。今回は、ムカシトンボのメスが産卵にやってくる源流域の細流に午前7時から待機。 30mほど離れた所に見える日当たりの良い林道では、午前7時半からオスが飛び始めた。4~5頭が、カゲロウを捕食するために高速で飛びまわり、捕らえると杉の高い梢に止まって食べるという行動を繰り返している。
8時半を過ぎた頃、ムカシトンボのオスが私が待機する細流へとやってきた。9時半頃からオスの飛来回数も増える。個体の違いによるものなのだろうか?先週の時よりも長いホバリングをしながら、岩場の草の陰などのメスが産卵しそうな場所を丁寧に見て回っていた。そのため、今回は体長5cmほどのムカシトンボの飛翔撮影も成功率が高かった。
ムカシトンボ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F4.0 1/500秒 ISO 2000(撮影地:東京都あきる野市 2014.5.17 9:47)
ムカシトンボのメスが産卵に来るに違いない。前回の教訓を生かし、今日は完璧に撮りたい・・・ポイントで待機すること3時間。オスは定期的に飛んできては、隅から隅まで丁寧に見て回っているが、メスはいつになったら飛んでくるのか?
何気なく産卵ポイントを見ると、ムカシトンボのメスがフキの茎に止まって産卵を行っているではないか!慌てて1枚、そしてもう一枚。ゆっくり近づくと、メスは産卵に集中している様子。望遠から90mmマクロに変えて慎重に撮影開始。
ムカシトンボのメスは、流れに張り出すように生育するフキやウバユリなどの柔らかい植物体茎部が主な産卵場所で、暗い場所では、岩に生えたやジャゴゲ、ゼニゴケの葉体にも産卵する。産卵前は敏感だが、一旦、産卵に集中するとレンズを近づけても平気だ。フキの根元の方から左右に蛇行するように上方へ産み込んでいく様子が観察できた。
この個体は、10:09~10:24まで、15分間も同じフキの茎で産卵を続けていた。(場合によっては、1時間もその場に留まる個体もいるようである。)
ムカシトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F5.6 1/80秒 ISO 3200(撮影地:東京都あきる野市 2014.5.17 10:20)
ムカシトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/50秒 ISO 3200(撮影地:東京都あきる野市 2014.5.17 10:21)
ムカシトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F9.0 1/60秒 ISO 400 ストロボ使用(撮影地:東京都あきる野市 2014.5.17 10:17)
ムカシトンボ(産卵)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F2.8 1/125秒 ISO 1000(撮影地:東京都あきる野市 2014.5.17 10:24)
ムカシトンボの産卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
卵はおよそ一ヶ月で孵化し、幼虫(ヤゴ)は6~7年の水中生活に入る。終齢幼虫は、羽化の一ヶ月前になると上陸して湿った落葉や石の下で過ごすというから、来年の春は、この上陸幼虫を探すことにしよう。
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