ギフチョウは、これまで2010年に神奈川県相模原市で、2013年に新潟県十日町市で、ヒメギフチョウ本州亜種は、2012年に群馬県渋川市赤城町において撮影しているが、証拠程度の写真ばかりであった。どうしてもカタクリで吸蜜する絵を撮りたくて、昨年、長野県白馬村を訪れたが達成できず、今回はそのリベンジの記録である。
ギフチョウとヒメギフチョウ本州亜種の分布は明確に分かれており、この2種の分布境界線はリュードルフィアライン(ギフチョウ線)と呼ばれているが、白馬村は分布境界線上にあり、長野県飯山市と山形県鮭川村等と同様にギフチョウとヒメギフチョウの混生地となっている。ギフチョウは絶滅危惧Ⅱ類(VU)、ヒメギフチョウ本州亜種(以後、ヒメギフチョウという)は準絶滅危惧(NT)として環境省RDBに掲載されており、両種が同じ場所に生息していることは、たいへん貴重であり、両種とも、白馬村では天然記念物に指定されている。また白馬村では、日本ではここにしかいないイエローバンドと言われる、後翅縁毛の全てが黄白色になったギフチョウ(遺伝子の異常タイプ)が発生することでも知られている。
さて、スプリング・エフェメラルのギフチョウとヒメギフチョウ。天気予報から5月3日が最適と判断し、2日22時に自宅を出発。長野県白馬村の目的地に3日午前2時到着。6時まで仮眠して、まずはロケハン。チョウの飛翔範囲において絵になるカタクリを探して待機。朝の気温は7℃であったが、日が高くなるにつれてグングンと上昇。(正午には22℃)1頭目が飛び出したのは8時半であった。次第に数が増え、広範囲に渡って何頭も飛んでいる。しかし、飛びまわっていてなかなか止まらず、止まっても地面かスミレで、肝心のカメラを向けているカタクリには一切止まってくれない。そこで、待ち伏せ作戦を止め、1頭1頭、飛んでいる後を追いかける作戦に変更。4時間かかって、ようやくカタクリに止まったヒメギフチョウを撮影することができたが、アングル的に難があり満足できる絵は撮れなかった。
最後に掲載した写真は、ウスバサイシンの葉裏に産み付けられたヒメギフチョウの卵である。(初撮影)
白馬村は、ちょうど桜が満開で、中綱湖のオオヤマザクラも見頃で、カラマツの新緑も美しい。ギフチョウのイエローバンドは、発見できず。この場で一泊して翌日は、更に色々と撮影したかったのだが、4日は家族で日帰りドライブの予定があり、午後12時半で撤退。帰路に就く。私の昆虫写真の理念は、特徴が分かる美しい図鑑写真であること。次に、生態写真であること。そして、芸術的作品であることなので、今回も目標を達成していない。カタクリでの吸蜜写真は、もっとローアングルで撮影すること、そしてギフチョウのイエローバンド撮影は来年の課題としたい。
ギフチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 320(撮影地:長野県北安曇郡白馬村 2014.5.3 9:56)
ヒメギフチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250 -1/3EV(撮影地:長野県北安曇郡白馬村 2014.5.3 12:04)
ギフチョウ(スミレでの吸蜜)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 320(撮影地:長野県北安曇郡白馬村 2014.5.3 9:56)
ヒメギフチョウ(キクザキイチゲでの吸蜜)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250(撮影地:長野県北安曇郡白馬村 2014.5.3 11:31)
ヒメギフチョウ(カタクリでの吸蜜)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250(撮影地:長野県北安曇郡白馬村 2014.5.3 11:32)
ヒメギフチョウ(カタクリでの吸蜜)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 320 -1/3EV(撮影地:長野県北安曇郡白馬村 2014.5.3 8:10)
ヒメギフチョウの卵
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 1600(撮影地:長野県北安曇郡白馬村 2014.5.3 10:16)
こんにちは。
カタクリと一緒に撮れて良かったですね。
苦労された甲斐がありましたね。
お疲れ様でした。
多摩NTの住人様、こんばんは。
何とか撮りましたが、カタクリに止まったという「記録写真」でしかありません。「作品」にするには、もっとアングルに気を配らなければなりません。ただ、4時間追いかけたお陰で、ギフチョウとヒメギフチョウの飛翔範囲や行動パターンが分かりましたので、また来年、白馬に行って「作品」になる写真を撮りたいと思います。