スギタニルリシジミ(Celastrina sugitanii)は、2012年に、神奈川県と群馬県で撮影しているが、いずれも翅を閉じたポーズのみ。その後、集団吸水と開翅写真を撮るべく、毎年、奥多摩を歩き回ってはいたが、思うような撮影は出来ていなかった。そこで今年は、場所を変えて二日間、檜原村へ通った。
林道を歩きはじめると、すぐにチラチラと飛んでいるスギタニルリシジミを発見。歩くにつれて、その数は多くなる。杉林の中から林道に降りてくる。 他に、コツバメとトラフシジミも飛んでいる。しばらくすると、日当たりが良く、しかも崖から浸み出た湧水が溜まってぬかるんだ所があった。何とその場所に、30頭を越えるスギタニルリシジミが吸水に訪れており、あちこちで小集団を作っていた。(ルリシジミも何頭か混じって吸水していた。)
まずは、集団吸水の様子を捉えるという第一の目標をクリアすることができた。次は、開翅写真の撮影である。しかし、吸水中は一切、翅を開かない。吸水場所から離れた日だまりへ移動し、飛んでいるスギタニルリシジミの後を追う。すると、地面に止まって翅を開いた。どの個体も止まると開翅。深い青紫色の翅表をようやく撮影することができた
スギタニルリシジミ(Celastrina sugitanii)は、年に1度羽化し、4月中旬から5月上旬の一時期にのみ出現するスプリング・エフェメラル。和名は、発見者である旧三高の数学教授でチョウの研究家でもあった杉谷岩彦氏に因んで命名されている。
スギタニルリシジミは、幼虫がトチノキの花や蕾を食べるために、深山の谷間に生息しており、以前は、東京では奥多摩の一部でしか確認されていなかった。しかし、昨今の研究でミズキやヤマフジ、ハリエンジュ、キハダも食樹としていることが判明し、現在では、高尾などでも普通に見られる。また、トチノキがない相模原市の山間部や丹沢、箱根等にも急速に分布が拡大している。環境省RDBに記載はないが、茨城県、群馬県、鳥取県、島根県で準絶滅危惧種に記載されている。
スギタニルリシジミの次は、GW期間中に「シルビアシジミの春型」、「カタクリに止まるギフチョウ」、「生きている化石ムカシトンボの産卵」の観察と撮影を予定。それまでは、「桜」を楽しみたい。
スギタニルリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.4.12)
スギタニルリシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F5.6 1/160秒 ISO 500 +1EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.4.13)
スギタニルリシジミ(集団吸水)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.4.12)
スギタニルリシジミ(集団吸水)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.4.12)
スギタニルリシジミ(集団吸水)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F5.6 1/250秒 ISO 200 +1EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.4.13)
スギタニルリシジミ(開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/640秒 ISO 200(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.4.12)
スギタニルリシジミ(開翅)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 250 +1EV(撮影地:東京都西多摩郡檜原村 2014.4.13)
コメントする