シルビアシジミ(Zizina emelina)は、1877年(明治10年)に、栃木県さくら市で発見されたシジミチョウ科ヒメシジミ亜科に分類される体長10mmほどのチョウ。ヤマトシジミに似ているが、ヤマトシジミよりも小さく、また翅裏の斑紋パターンの違い(下の写真参照)で判別できる。成虫は4月下旬から11月頃まで5~6回発生し、マメ科のミヤコグサ(Lotus japonicus)を食草としている。
シルビアシジミは、栃木県さくら市を東北限とした本州、四国、九州に分布し、ミヤコグサが繁茂する河川敷やシバ状の草地に生息するが、全国的に生息地は極めて局地的である。土地開発や里地里山の荒廃による生息環境の消失と昆虫類特有の感染症や個体群ごとの遺伝的多様性の低下等の影響により、個体数も著しく減少しており、2012年の環境省RDBカテゴリでは、絶滅危惧ⅠB類(EN)に選定され、分布域のほとんどの都府県でも絶滅危惧Ⅰ類に選定している。関東周辺においては、栃木県ではさくら市の鬼怒川河川敷のみ、千葉県では鴨川市、南房総市、館山市の一部の農地、山梨県では、南アルプス市の富士川河川敷等に生息しいるだけで、さくら市では、市の天然記念物に指定しており、採集を禁止している。
シルビアシジミは、今年、栃木県さくら市と兵庫県小野市で見つけることができなかったので、今回は、千葉県鴨川市へ行ってみた。千葉県では、銚子や白浜にミヤコグサの群生地があるが、シルビアシジミは、銚子では絶滅し白浜でも見られないという。生息地は、鴨川市と南房総市、館山市に点在しているのみで、ほとんどがミヤコグサではなく、シロツメクサ(Trifolium repens)を食草としているという。
シルビアシジミの物理的生息条件と自身の経験と勘から、鴨川市のある地区に的を絞って探索することにしてみた。7時半に現地到着。管理された里山は、定期的に草刈りが行われ、良好な環境が維持されている。農道を歩くとたくさんのシジミチョウがチラチラと飛んでいる。大きいのはウラナミシジミ。小さいのは飛んでいる時に区別がつかないため、止まった時に1頭1頭マクロレンズで確認すると、ほとんどがヤマトシジミと翅がボロボロのツバメシジミ。30分ほど探索すると翅裏の斑紋パターンが違っている個体を発見。シルビアシジミであった。今まで見てきたシジミチョウの中で、一番小さいのではないだろうか。特に、この時期に羽化するシルビアシジミは小型であるという。ここにはミヤコグサは自生しておらず、シロツメクサを食べていると思われる。また広い農地のほんの一角でしか見ることができなかった。千葉県においては、9月中旬頃から10月上旬頃に個体数が多いと言われているが、確認できたのは2頭。翅がかなり擦れていたので、もう時期が終盤なのだろう。生息場所が分かったので、来年は、翅表を綺麗に撮るために再度訪れたいと思う。
シルビアシジミは、初見初撮影の種で、当ブログのリスト「鱗翅目」で112種類目となる。
シルビアシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F9.0 1/200秒 ISO 200(撮影地:千葉県鴨川市 2013.10.13)
シルビアシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200(撮影地:千葉県鴨川市 2013.10.13)
シルビアシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:千葉県鴨川市 2013.10.13)
ヤマトシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200(撮影地:栃木県さくら市 2013.09.28)
ミヤコグサ(シルビアシジミの食草)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F9.0 1/160秒 ISO 500(撮影地:兵庫県小野市 2013.10.06)
こんばんは。
シルビアシジミ、ヤマトシジミに似ていますが
翅の縁や斑紋がちがうのですね。
5年前位に東御苑でミヤコグサを撮った時、
シジミチョウが来ていました。
ちょっとピンぼけなのですが、見てみると
シルビアシジミではなくヤマトシジミでした。
花を撮るつもりでいるのにチョウが止まると
やはりシャッターを切ってしまうことが多いです。
http://blog.goo.ne.jp/maoaki1497/e/5245daec29d3b1d401593b7a6d8907f4
granma様、こんばんは。
花と蝶は、主役と脇役。私の場合はチョウは主役ですが、granma様は花が主役ですね。
シルビアシジミは、よく見なければヤマトシジミと区別がつかない小さなチョウですが、
とても少なく絶滅危惧種となっています。こんな小さなチョウは、多くの人々は気にも留めないかも知れませんが、自然は、知らないうちに壊れていってしまうということの表れだと思います。