オオキトンボ(Sympetrum uniforme)は、トンボ科アカネ属で、体色は全体が橙黄色で目立つ斑紋はなく、翅全体も薄い橙色になる。成熟しても赤化しない。未成熟のショウジョウトンボ(参照:里山のトンボ(8月))に似ているが、本種には前胸に長い毛があり、腹部が扁平ではないことで区別できる。また、キトンボにも似るが、翅の色の着き方やメスの産卵弁の形状で区別できる。
オオキトンボは、遠浅で抽水植物が繁茂して岸辺が湿地状に広がり、また秋に池底が露出する平地や丘陵地にある比較的大きなため池に生息する。成虫は6月下旬頃に羽化し、夏は池から離れて草原や林などで過ごし、9月下旬頃に再び池に戻ってきて繁殖活動を行う。風も穏やかで良く晴れた日は、午前10時頃になるとオスは草むらからでてきて水際の草の上に止り、10時半頃になると水面をパトロールし始め、水面上でホバリングしながら、メスがやってくるのを待つ。ペアができると、池底が露出してできた湿地状の部分で産卵する。繁殖活動は、11月下旬頃まで見ることができる。
オオキトンボは、北海道から九州まで分布するが、生息環境の悪化等により全国各地で減少が著しいトンボで、現在の確実な生息地は青森県、兵庫県、愛媛県、香川県、大分県にあるが、極めて局所的である。 2000年の環境省RDBカテゴリでは、絶滅危惧II類に選定されていたが、2012年の環境省RDBカテゴリでは、絶滅危惧ⅠB類(EN)にランクが上がっている。関東地方では1970年代から減少が著しくなり、千葉、茨城、東京、神奈川の各都県では絶滅。さらに岐阜、三重、福井、滋賀、奈良、広島などの各県でも絶滅したようである。
オオキトンボを求めて4年間で栃木県に6回、昨年と今年(先月)、兵庫県に2回訪れたが、見つけることができなかった。栃木県では2009年以降、目撃情報がなく、絶滅した可能性もある。兵庫県においては、時期のずれから撮影が叶わなかったので、今回、再度兵庫県に行ってみた。
5日(土)午後12時半。雨の東京を出発し、およそ600km先の兵庫県加西市に19時半に到着。中国自動車道のSAにて車内一泊。翌朝6時に目的に池に移動し、探索。この池は、自宅机上にて、オオキトンボの生息環境をもとに航空写真から割り出したポイントだ。実際に訪れてみると申し分な環境だ。1時間後、1頭のオオキトンボらしきトンボを見つけ撮影(1枚目)。しかし、すぐに飛ばれてしまい1カットのみ。しかも写真はピンボケ。その後、2時間探したが見できず、強風が止まないため次の池に移動。そこでもオオキトンボらしきトンボを見つけ撮影(2枚目)したが、今度は同定に自信がない。とりあえずオオキトンボと表記するが、違っていたらご指摘いただきたい。結局、午前10時で撤収し、帰路に就いた。
オオキトンボは、初見初撮影の種で、当ブログのリスト「蜻蛉目」で96種目となるが、今回、1,200kmも走りながらお粗末な写真を2枚しか撮影できなかった。これは、オオキトンボの活動時間に関する知識不足と翌日の仕事を考え午前10時には引き揚げなくてはならなかったことが敗因だ。(それでも、帰宅は18時)このままでは、気持ちが収まらない。都合がつけば、 11月上旬頃にもう一度遠征して確実な写真を撮影したい。叶わなければ来年である。
遠くまで運転しても、渋滞にはまっても、更に成果がなくても、「疲れた」という言葉は口にしたくない。「仕事ならともかく、遊びや趣味で疲れたと言うな」と子供の頃、父親に叱られた事があるからだ。探究心と執念で、また出かけようと思う。
オオキトンボ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F8.0 1/800秒 ISO 3200(撮影地:兵庫県加西市 2013.10.06)
オオキトンボ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F9.0 1/160秒 ISO 640(撮影地:兵庫県小野市 2013.10.06)
こんにちは。
「キトンボ」と言われると、「黄トンボ」だと思いますが、「オオキトンボ」と言われると、昆虫素人の私はどうしても「大木+トンボ」と変なところで区切ってしまいます。植物名でも時々区切り方がややこしいものが出てきます。
こんにちは、
オオキトンボを求めて遠く雨の中を兵庫県までいらしたのですね。
満足のいくお写真がお撮りになれなかったようですが、
それでも初見初撮影のトンボの姿を撮れて良かったですね。
お時間が取れたら又挑戦して納得のいくお写真を見せて下さい。
ホタルさんの執念(?)できっと良いお写真が撮れると思います。
granma様、こんばんは。
出発した時、東京は雨でしたが、笹子トンネルを根けると、西は良い天気でした。
お陰さまで、翌日の兵庫は朝から良い天気だったのですが、自分の至らなさで残念な写真しか撮れませんでした。
オオキトンボは、これまで撮影したトンボの中では、探すのに一番苦労しているトンボなので、もう一度、がんばって撮りなおしたいと思います。
多摩NTの住人様、こんばんは。
「キトンボ」を知らなければ、尚更「オオキ+トンボ」と思います。
和名は、紛らわしいのもありますし、無理やり付けたようなものもありますね。