アキアカネ(Sympetrum frequens)は、トンボ科アカネ属に分類されるトンボ。アキアカネは、5月下旬頃に平地の水田等で羽化した後、標高の高い高原や山岳に移動して盛夏を過ごす。そして、十分成熟したオスは腹部が黄色から赤に変化し、秋雨前線の通過を契機に山を降りて平地や丘陵地、低山地へと移動して繁殖活動を行う。成虫は11月下旬頃まで見られる。
過去の記事を見直してみると、アキアカネの写真はたった1枚のみ。誰でも知っている普通種ほど、おざなりにせずに勉強しなければならない・・・
アカトンボは、どうして赤くなるのか?
アキアカネをはじめとするアカネ属の多くが、成熟すると赤くなるのは何故か?その仕組みを独立行政法人 産業技術総合研究所の研究グループが解明した。
「オスは成熟する過程で黄色から赤色へと体色が変化する。これは、オモクロームが酸化型から還元型へと変化することによるもので、色素の酸化還元状態の変化により体色が大きく変わるという、これまで動物では知られていなかった体色変化機構である。
従来、多くのアカトンボ類でオスだけが赤くなるのは、婚姻色として性的に成熟したオスの識別やアピールに機能をもつと考えられてきた。しかし、今回の研究により、オスのアカトンボが日向に留まって縄張りをつくる際に、紫外線による酸化ストレスを軽減するという別の機能も果たしているという新たな可能性が考えられる。
今回、アカトンボ類が体内色素の酸化還元状態を変えることで成熟に伴う体色変化をおこすという、動物ではこれまで知られていなかった体色変化機構が明らかになった。赤くなったトンボは細胞内が抗酸化状態となっており、標本にしたアカトンボでもかなりの期間にわたって赤色が保たれることから、色素の還元型の状態を維持する何らかの機構をもっているものと思われる。その機構を解明することにより、抗酸化作用に関する新たな理解が得られる可能性も考えられる。」
引用:独立行政法人 産業技術総合研究所/プレスリリース 「アカトンボがどうして赤くなるのかを解明」より
アキアカネ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 3200 -1 1/3EV(撮影地:神奈川県相模原市 2013.09.22)
アキアカネ(オス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 3200 -2EV(撮影地:神奈川県相模原市 2013.09.22)
アキアカネ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 800 +1EV(撮影地:長野県松本市 2013.09.23)
アキアカネ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影地:神奈川県相模原市 2013.09.22)
アキアカネ(メス)
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4
絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 3200 -2/3EV(撮影地:神奈川県相模原市 2013.09.22)
アキアカネ(メス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 800 +1EV(撮影地:長野県松本市 2013.09.23)
こんにちは。
アカトンボの色もやはりそれなりの理由がちゃんとあるんですね。興味深いお話でした。
多摩NTの住人様、こんにちは。
昆虫生理学は専門外ですが、以前から「なぜ赤くなるのか?」と疑問に思っていましたから、興味深い内容ではありました。きちんと研究すれば、解明できるのですね。
私は机上ではなく、野原に寝転びながら研究したいと思います。