クロツバメシジミ(Tongeia fischeri)は、たいへん細く短い尾状突起と翅表の黒色が特徴のシジミチョウ科のチョウで、本州、四国、九州、壱岐、対馬に分布する。本州では、関東地方以西に分布し、長野県を中心とする内陸部や中国地方に多いが、生息地は極めて局所的である。また、日本国内では下記の3亜種に分類される。
- クロツバメシジミ九州沿岸・朝鮮半島亜種(Tongeia fischeri caudalis)
- クロツバメシジミ東日本亜種(Tongeia fischeri japonica)
- クロツバメシジミ西日本亜種(Tongeia fischeri shojii)
クロツバメシジミは、生息域が分断されており地理的変異が著しく、それぞれの分布域で形態的に特徴が見られる。(雌雄は、形態的差異はない)また、生態的にも相違が認められ、沿海の生息地ではタイトゴメを食草とし、内陸の生息地ではツメレンゲやイワレンゲを食草としている。
クロツバメシジミは、各亜種ともに環境省RDBカテゴリでは準絶滅危惧種(NT)に選定されており、どの亜種も分布県で絶滅危惧Ⅰ類や絶滅危惧Ⅱ類に選定している。また、愛知県新城市では町指定の天然記念物となっている。
23日は、東京地方は曇りで肌寒く甲府から西は良い天気という予報。前日に急遽計画し、自宅からおよそ200km離れた長野県内でクロツバメシジミの東日本亜種を撮影することにした。
5時の東京は曇り。途中、中央道の大月付近は雨であったが、トンネルを抜けると予報通りに甲府は晴れていた。7時に目的地に到着。土手に車を止めて見下ろすと、堤防の石組みやコンクリートのすき間に食草のツメレンゲが群生しており、あちこちにクロツバメシジミが止まっているのが見えた。ツメレンゲ(orostachys japonica)は、ベンケイソウ科イワレンゲ属に分類される多年生の多肉植物で、環境省RDBカテゴリでは準絶滅危惧(NT)に指定されており、33の道府県で絶滅危惧Ⅰ類や絶滅危惧Ⅱ類に指定している。
クロツバメシジミは、日が当たってくると翅を擦り始め、しばらくすると黒色の翅表を披露してくれた。翅を開いても一円玉(2cm)ほどの小さなクロツバメシジミは、飛び方が弱々しく移動距離も僅かである。飛び立っても、すぐに草の葉や石の上に止まる。止まる場所は、白い石の上が多いようである。
この日は、1時間ほど撮影し帰路に着いた。
クロツバメシジミは、初見初撮影の種で、当ブログのリスト「鱗翅目」で110種類目となる。
クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 800(撮影地:長野県内 2013.09.23)
クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F6.3 1/125秒 ISO 1000(撮影地:長野県内 2013.09.23)
クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 800(撮影地:長野県内 2013.09.23)
クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 320 +1/3EV(撮影地:長野県内 2013.09.23)
クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/125秒 ISO 400 +1EV(撮影地:長野県内 2013.09.23)
クロツバメシジミ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 400 +1/3EV(撮影地:長野県内 2013.09.23)
ツメレンゲ(クロツバメシジミの食草)
(撮影地:長野県内 2013.09.23)
ツメレンゲ(クロツバメシジミの食草)
(撮影地:長野県内 2013.09.23)
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