アイノミドリシジミ(Chrysozephyrus brillantinus)は、シジミチョウ科ミドリシジミ族(通称ゼフィルス)で、雄の翅表が金緑色に輝くメスアカミドリシジミ属(Chrysozephyrus)の一種である。ブナ科のミズナラを主にコナラやクヌギ、カシワを食樹としている。 メスアカミドリシジミは、10時頃から16時頃に活動するが、本種は早朝から10時頃までが活動時間で、テリトリーを見張る行動やオス同士の卍飛翔を繰り返す。
アイノミドリシジミは、昨年撮影できずに終わった種で、今年は念入りに計画を立て、ロケハンまで行って撮影に臨んだ。
平年より15日早い梅雨明けとなった6日(土)、午前5時からカメラバッグ、三脚、脚立を持って登山開始。最初は寒いくらいだったが、いつの間にか汗だく。雲に隠れてなかなか太陽が出ず、アイノミドリシジミが飛びだしてきたのは午前9時近く。かなり高い所の葉先にしか止まらない。脚立の最上段から、かろうじて撮影できたが、翅が傷んだ個体で、しかも光線が悪く、翅が金緑色ではなく青色にしか写せなかった。(写真1及び2)
翌7日(日)。午前2時に出発して、昨日とは別の場所(北杜市)に行ってみた。広大なミズナラの林が続くが、初めての場所はポイントが分からない。あちこち移動しながら探索するが成果なし。急いで昨日行った場所に再訪することにした。
今回は、林道から林の中へ入り、奥にあるギャップ(林内にぽっかりあいた空間)に行ってみた。8時頃になるとギャップにも太陽の光が入るようになる。すると何頭ものアイノミドリシジミが飛びだし、早いスピードで飛びまわり、そしてかなり高い所の葉先に静止。別のオスが近づけば、2頭がくるくると卍飛翔を繰り広げ、そうした光景がギャップのあちらこちらで見られる。観察していると、目線の高さの葉に止まる個体が現れた。翅は傷んでいないが、どうしても角度が悪い。目線より下、つまりチョウを上方から望まないとアイノミドリシジミらしい翅色がでない。そうこうしていると、別の個体が高さ50cmの草の葉上に止まった。静かに近寄ってレンズを向けたが、残念ながら飛ばれてしまった。また同じ場所に戻る習性があるので、待機していると、背後の雑木林からガサガサと音。カメラマンか、或いは捕虫網を持った輩か、アイノミドリシジミを一人占めするのもここまでかと思いきや、何と、黒く大きなツキノワグマが30m先を移動中!私には気付いていない様子。そっと退散するか、留まるか・・・悩みながら、証拠写真と思いレンズを向けたが、ピントが合う前に雑木林の奥へと行ってしまった。クマを見たのは、2009年7月に奥多摩でヒメボタルを撮影している時と今回で2度目である。とりあえず無事でよかった。
その後は、クマのことが気になり、またアイノミドリシジミもなかなか下に降りてこず、活動終了時刻。不十分のまま撤収することとなった。
アイノミドリシジミは、初見初撮影の種で、当ブログのリスト「鱗翅目」で101種類目、全25種類のゼフィルスでは17種類目となるが、アイノミドリシジミらしい翅色を写せず、また写真画質もかなり悪い。次週以降は、よいロケーションがある生息地を探して遠征し、再度、アイノミドリシジミの撮影に挑みたい。
アイノミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F10 1/400秒 ISO 3200 -1EV トリミング(撮影地:山梨県韮崎市 2013.07.06 9:18)
アイノミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F10 1/500秒 ISO 3200 -1EV トリミング(撮影地:山梨県韮崎市 2013.07.06 9:20)
アイノミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F10 1/320秒 ISO 3200 トリミング(撮影地:山梨県韮崎市 2013.07.07 8:26)
アイノミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F10 1/400秒 ISO 3200 トリミング(撮影地:山梨県韮崎市 2013.07.07 8:28)
アイノミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F10 1/1000秒 ISO 1600 トリミング(撮影地:山梨県韮崎市 2013.07.07 8:30)
アイノミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F10 1/320秒 ISO 3200 トリミング(撮影地:山梨県韮崎市 2013.07.07 8:30)
アイノミドリシジミ
Canon EOS 7D / Tokina AT-X 304AF 300mm F4 + Kenko TELEPLUS 2X
絞り優先AE F10 1/640秒 ISO 3200 -2/3EV トリミング(撮影地:山梨県韮崎市 2013.07.07 8:42)
中部の山奥はツキノワグマが多いから気をつけたほうがいいですよ。クマよけスプレーも持って行ったほうがいいと思います。
こんにちは。
クマに遭遇してさぞかし驚かれたことでしょうね。
でもご無事で何よりでした。
101種目をご覧になれてカメラに収められて良かったですね。
アイノミドリシジミらしい翅色を写せなかったと書かれて
いらっしゃいますが
他のミドリシジミと違った美しさがありますね。
でももっと上の画質を望まれていらっしゃるので
頑張って再挑戦なさってくださいね。
こんばんは~。
300mm+2倍テレコン&トリミングと、かなり苦戦を虐げられる被写体ですね。
不完全燃焼だとは思いますが、ブルーの翅を見ることができたのも、ホタルさんの執念が通じたものと思います。
より良い環境が見つけられるといいですね。
しかし、クマに遭遇とは!
大事に至らずによかったですね。
それでも証拠写真を撮ろうとするのは凄い。
私は先日イノシシに遭遇しましたが、すぐに逃げました^^;
Udagaw氏、こんばんは。
訪れた場所は、韮崎の中心街から30分ほどの場所で、別荘も多くある所です。クマ注意の看板もなく、ハイキング者も多いのですが、クマに会ってしまいました。
鈴は付けているのですが、撮影のために、こちらも気配を殺すのにじっとしていますから、鈴の意味がありませんでした。
クマよけスプレーなんてあるのですね。今後は気をつけたいと思います。
granma様、こんばんは。
ミドリシジミの仲間は、ちょっとした角度の差で、翅の色が違って見えます。アイノミドリシジミは、青ではなく、金緑色が大きな特徴なんです。次回は、別の場所で撮影できるようがんばります。
しかし、クマには驚きました!
うっすさん、こんばんは。
このクラスのゼフィルスになると、300mm+2倍テレコンがないと撮影できないですね。キリシマミドリシジミほどではありませんが、簡単には撮らせてもらえません。この場所は、もう翅が擦れてだめでしょうから、次週はもっと標高の高い場所に行って、良い環境を見つけて再度、臨みたいと思います。
こんにちは。
ツキノワグマに遭遇とは、驚きですね。
若い頃、北海道を自転車旅行している時に、峠の道に“熊に注意!”の看板があり、自転車のベルを『チン、チン』鳴らしながら、走ったことを思い出しました。
どうぞお気をつけ下さいね。
首都大学に“イノシシ出現?”の看板がありますが、熊に比べればかわいいものです。
多摩NTの住人様、こんばんは。
クマとの遭遇は2回目で、最初は奥多摩の山中で、夜、ホタルの観察をしているときでした。別の場所では、大きなイノシシにも出会ったことがあります。こちらが慌てなければ、大丈夫のようですが、さすがにクマは怖いです。