クモマツマキチョウ(Anthocharis cardamines)は、シロチョウ科に分類されるチョウで、本州の北アルプス、南アルプス、八ヶ岳の高地帯の沢沿いにある草地に生息している。いわゆる高山蝶の一種で、大陸と陸続きになっていた氷河期に渡来してきたものが温暖化により国内の高山に逃げ延びたものと言われている。
ミヤマハタザオ、イワハタザオ、フジハタザオ、ジャニンジンなどのアブラナ科を食草とし、翅裏はツマキチョウと同じく草ずり模様になっているが、前翅先端は雄は鮮やかなオレンジ色、雌ではくすんだ灰色になる。また前翅中央に黒点があり、これが北アルプス及び戸隠亜種は丸く、八ヶ岳・南アルプス亜種は三日月形をしている。
環境省のレッドデータリストでは準絶滅危惧種にランクされ、長野県では「指定希少野生動植物」に、また、長野県及び富山県指定の天然記念物にも指定されている。
5月31日。19時半に自宅を出発。向かうは、富山県立山町。目的は、クモマツマキチョウの撮影である。
クモマツマキチョウは、子供の頃からの憧れのチョウであり、昨年から撮影計画を練っていた。当初、車での走行距離の短い南アルプスを考えたが、林道バスに乗り、下車してから山道を2時間以上も歩かねばならず断念。八ヶ岳と北アルプス(白馬付近)は、ポイントが分からず断念。結局、遠いけれど楽に撮影できるであろう富山県立山町を目指した。
現地には、途中で仮眠をして7時半到着。ゆっくりと散策を兼ねて歩き出す。標高1,000m付近のいかにも生息場所と思われる渓流脇のガレ場に降りてみた。山側には、まだ雪が残っている。 8時50分。1頭のクモマツマキチョウのオスが現れた。オレンジ色が印象的だ。風上に向かって力一杯飛んで、しばらくすると葉の上に止まったり、スミレで吸蜜したりしていた。残念ながら、クモマツマキチョウは、この一頭のみの出現で終わってしまったが、これまで、見た事のない景観の中での初見初撮影のクモマツマキチョウ。(当ブログのリスト「鱗翅目」で98種類目)往復892kmの道のりであったが、満足の1日であった。
昨年6月上旬、山梨県の南アルプス北部で、クモマツマキチョウを孵化させて成虫を標本にするつもりで、卵を産みつけた高山植物ミヤマハタザオを違法に採取したとして、自然公園法違反の疑いでチョウの愛好家、男2人が摘発されている。また、松本市の上高地で、オオイチモンジというチョウ5匹を無許可で捕まえたとして、岐阜県の自営業の男が書類送検されている。
富山県立山町は、クモマツマキチョウの生息地として公表されているので、誰でも楽に行くことができるが、県の天然記念物に指定されているので採集はできない。
クモマツマキチョウの生息地
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F6.3 1/200秒 ISO 200(撮影地:富山県立山町 2013.06.01)
クモマツマキチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250 +1/3EV(撮影地:富山県立山町 2013.06.01)
クモマツマキチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/500秒 ISO 200(撮影地:富山県立山町 2013.06.01)
クモマツマキチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +1/3EV(撮影地:富山県立山町 2013.06.01)
クモマツマキチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400 +1/3EV(撮影地:富山県立山町 2013.06.01)
クモマツマキチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 250 +1/3EV(撮影地:富山県立山町 2013.06.01)
クモマツマキチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F6.3 1/400秒 ISO 200 +1/3EV(撮影地:富山県立山町 2013.06.01)
こんばんは~。
本日はありがとうございました^^
いい一日になりました。
クモマツキチョウ、いい絵が撮れてますね!
クモマツらしい姿がバッチリです。
長時間の大遠征も大成功でよかったです。
しかし、オレンジ色が鮮やかですね!
飛んでいる姿もさぞ美しかったことでしょう。
翅裏はツマキチョウの様ですね。
私は来年辺り、検討したいと思います。
うっすさん、こんばんは。
今日は、色々と撮影できて良かったですね。
クモマツマキチョウは、何時間も山道を歩くことなく、車を降りてちょっと歩けば撮影できたのですが、往復892km、22時間かかりました。これも気合いが必要です。撮れてよかった!
こんにちは。
憧れの蝶というのがわかります。
とても綺麗な蝶ですね。
一頭だけでも出会えて良かったですね。
多摩NTの住人様、こんばんは。
かなり遠かったのですが、本格的な登山をせずに高山蝶に出会えることができました。
翅先のオレンジ色がとても印象的でした。
マニアの標的にもなっていますので、心配です。
こんばんは。
クモマツマキチョウ,翅をひろげるとオレンジ色が見えるのですね。
鮮やかな色でとても綺麗ですね。
翅を少し閉じた状態の草ずり模様もオレンジ色との組み合わせが
素敵で着物の柄にしたら素敵ですね。
珍しいチョウをお撮りになれて本当に良かったですね。
granma様、こんばんは。
本来は、南アルプスや北アルプスに登らなければ会えないチョウなのですが、比較的低地で見られる場所を見つけて訪れてみました。とても可愛らしいチョウで、子供の頃から図鑑でしか見たことのないチョウが、目の前の飛んでいることに感動しました。