シリーズ 晩秋の上高地 その2
穂高連峰と同様に、大正池から望む焼岳にも雲が流れていた。焼岳(標高2,455m)は、大正4年(1915)6月の大噴火で梓川を堰き止め、大正池をつくった北アルプス唯一の活火山である。その活動は老衰しているとも言われているが、頂上には幾つかの火口があり、今尚盛んに噴煙を上げている。
『日本百名山』の著者・深田久弥は焼岳をこう評している。「焼岳は微妙な色彩のニュアンスを持っている。濃緑の樹林と、鮮やかな緑の笹原と、茶褐色の泥流の押出しと、─そういう色が混りあって美しいモザイクをなしている。しかも四季の推移によって、そのモザイクも一様ではない。ある秋の晴れた日、焼岳はまるで五色の着物を着たようにみごとだった」と。
今回は色彩ではなく、山岳の荒々しさと険しさ、そして雲と光による「悠久の時の流れ」というものを感じて撮影した・・・つづく。
焼岳
Canon EOS 5D Mark2 / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F16 1/60秒 ISO 800 -2/3EV(撮影地:長野県松本市 2012.11.03 6:50)
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