三浦半島の南西に位置する荒崎海岸の鋭い岩や奇岩は、三浦半島がまだ海底にあった数千年前に蓄積された特徴の異なる黒く硬い岩と白くて軟らかい岩によって形成されたものだ。
16時半、夕日に赤く染まる奇岩に打ち寄せる荒波を撮りたくて荒崎海岸へ。しかし、夕日は雲に隠れ、風もなく波は穏やか。それならば、1月に千葉県根本海岸の屏風岩で撮影した山水図屏風と同じスローシャッターによる表現で撮るしかない。
数秒という時間の経過を一つにまとめれば、動かぬ岩を霧のように覆う波が幻想的だが、私はより深いものを感じる。それは、一体何なのだろう・・・
一見、「静」と「動」の対比に見えるが、常に寄せては消える波のごとく、岩も浸食によって日々形を変えており、いつかはすべてなくなってしまう。「あらゆるものは生じ、そして滅する。すべてのものは変化してやまない。」つまりは、「諸行無常」という摂理なのではないだろうか。
祇園精舎の鐘の音には、
諸行無常すなわちこの世のすべての現象は絶えず変化していくものだという響きがある。
沙羅双樹の花の色は、
どんなに勢いが盛んな者も必ず衰えるものであるという道理をあらわしている。
世に栄え得意になっている者も、その栄えはずっとは続かず、
春の夜の夢のようである。
勢い盛んではげしい者も、結局は滅び去り、
まるで風に吹き飛ばされる塵と同じようである。(「平家物語」の冒頭を口語訳)
夕暮れの荒崎海岸
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F18 1/20秒 ISO 200(撮影地:神奈川県横須賀市 2012.09.29)
荒崎海岸
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F22 25秒 ISO 200(撮影地:神奈川県横須賀市 2012.09.29)
荒崎海岸
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F29 4秒 ISO 200(撮影地:神奈川県横須賀市 2012.09.29)
こんばんは。
幻想的な荒崎海岸のお写真、とても印象深く感じ素晴らしいと
思いました。
AEがF22 シャッタースピードが25秒と書かれていて
びっくりしました。
スローシャッターで撮るのはせっかちな私には無理のようなです。
こんにちは。
波が霧のように見えて幻想的ですね。
高い山から見える雲海のようにも見えます。
シャッター速度の加減で、全く違う風景になりますね。
多摩NTの住人様、こんばんは。
長時間露光の超現実的な世界は、写真ならではのものだと思います。
「ありのままの瞬間を切り取る」から創作芸術に踏み込める技法かもしれません。
granma様、こんばんは。
長時間露光は、三脚にカメラを据えて構図を決めたらじっくりと撮りますので、一瞬を切り取るのと違った楽しさと余裕があります。
ホタルの光跡や渓流の流れ等を撮るときにも用いますが、ホタルの撮影で、一時間シャッターを開けっぱなしにしたこともあります。さすがに、そういう時は余裕がありすぎて退屈ですが・・・