マダラヤンマ(Aeshna mixta soneharai)は、ヤンマ科ルリボシヤンマ属で、体長は約65~69㎜。本州東北部から北海道にかけて生息する北方系の小型のヤンマで、成熟したオスは複眼と腹部斑紋が瑠璃色となり、たいへん美しい。ただし、生息地は極めて局所的であり、環境省カテゴリでは準絶滅危惧種(NT)、 15の都道県において絶滅危惧Ⅰ類や絶滅危惧Ⅱ類および準絶滅危惧種に指定している。また、学術的にも価値の高い種であることから天然記念物に指定している所も少なくない。
3連休二日目の9月16日、2010年から毎年訪れている生息地へ向かった。これまで、飛翔や雌雄の連結、静止などの写真は撮ってはいるものの、どれも不十分で、生態写真は勿論のこと、図鑑写真にもならないものばかりであったため、今回は、その美しい姿を綺麗に撮影することが目的だ。午後から天候が崩れる予報であったため、午前中が勝負である。
午前7時半、ポイントの池でマダラヤンマの出現を待つ。しばらくして3頭のオスが飛びだした。しばらく飛んでは、アシの葉に止まる。マダラヤンマは懸垂姿勢ではなく、シオカラトンボのように止まるのである。少々距離はあったが、何とか撮ることができた。マルタンヤンマやヤブヤンマの澄んだコバルトブルーも美しいが、マダラヤンマの瑠璃色の複眼もまた格別である。自然光下では1番美しいかもしれない。
静止画が撮れたので、次は飛翔である。ホバリングは午後が定番であるが、この日は風があり、午前9時から向かい風で短いホバリングを行ってくれた。目線より幾分低い位置であったため、空を背景にすることなく、また、太陽の位置も良かったため、マダラヤンマの美しさを撮ることができた。
この地のマダラヤンマは、平成15年に市の天然記念物に指定され、採集が禁止されているにも関わらず、採集者がいるという。学術研究のために特別に許可を得て採集するのは仕方がないが、それ以外は違法である。マダラヤンマのように希少種であれば、少数の採集でも絶滅につながる。標本にするにしても、トンボ類では、薬品を使用しても複眼や体の色は褪せてしまい、生きていた時の本来の美しさは保存できないのだ。
採集諸氏に対して「生態写真は標本より美しい」という言葉を贈りたい。
マダラヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200(撮影地:栃木県 2012.09.16)
マダラヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F4.5 1/1600秒 ISO 200(撮影地:栃木県 2012.09.16)
マダラヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F4.5 1/1600秒 ISO 200(撮影地:栃木県 2012.09.16)
マダラヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 400(撮影地:栃木県 2012.09.16)
マダラヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F4.5 1/250秒 ISO 200(撮影地:栃木県 2012.09.16)
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