キベリタテハ

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 キベリタテハ(Nymphalis antiopa )は、タテハチョウ科のチョウで、和名にあるように翅表外縁に黄色の太い縁取りがある。翅全体は小豆色でベルベットのような光沢があり、黄色の縁取りの内側には、青色の斑紋が一列に並ぶ。そのシックな色合いから「高原の貴婦人」とも呼ばれている。ヨーロッパから中央アジア、シベリア、北アメリカ、メキシコまで、北半球の温帯~寒帯に広く分布しており、アメリカでは、Mourning Cloak(喪服のマント)と呼ばれ、イギリスでは、Camberwell Beauty(キャンバーウェルの美人)と呼ばれている。
 日本産は亜種として分類されており、北海道から本州中部(標高約1,000m以上の山岳)以北に生息しており、年1回8~9月頃に発生、成虫で越冬し、翌年4月頃まで見られる。食樹は、カバノキ科のダケカンバやシラカンバ、ヤナギ科のオオバヤナギ等である。成虫は、訪花することはほとんどなく、樹液や腐った果実などに訪れる。

 午前3時に自宅を出発。上信越道東部湯の丸ICで降り、湯の丸高原地蔵峠を超えて、標高1,400mの鹿沢高原(群馬県吾妻郡嬬恋村)に6時到着。気温は11℃。2時間睡眠のふらつく頭に、高原の香りと新鮮な空気が心地よい。目的は、今月の目標であるキベリタテハの撮影である。
 キベリタテハは、特に珍しい種ではないが、先週、先々週と山梨県内では見つけられなかった。鹿沢高原まで行けばいるだろうと勘を頼りに出かけた。日が高くなってくると、あちこちでキベリタテハが飛び始めた。何頭も見かける。貴婦人の名にふさわしく優雅に舞っている。駐車場や行く先の車道にも止まっているが、近づくと、すぐに逃げてしまう。
 どこか良いポイントはないかと探索すると、崖に岩肌が露出している場所があり、アサギマダラが10頭ほど集団吸水していた。(後日掲載)ここならばキベリタテハもやって来るに違いないと思っていると、案の定、1頭のキベリタテハが飛んできた。時折り羽ばたいては滑空するという飛翔スタイル。私に近づいてきて、私の周りをぐるぐると回る。翅音がすごい。服に止まった。これでは撮れない。しばらくすると、森の中へ飛んで行ってしまった。
 今日は、撮るまで帰らない。覚悟を決めて待つこと3時間。最大のチャンスがやってきた。目の前の岩に止まってミネラル分を吸収しているようである。ゆっくりと近づき撮影。その美しさを堪能することができた。写真では、脚が4本しか写っていないが、これは欠落しているのではなく、近縁のヒオドシチョウと同様に、前脚は極端に小さくなっていて前胸部に折りたたまれているので見えないのである。

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F9.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F5.6 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F9.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

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キベリタテハ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F11 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県吾妻郡嬬恋村 2012.08.25)

 キベリタテハを撮影したあと、佐久市の里山に向かい初見のゼフィルスを撮影。(次回掲載)トンボも撮影し15時に撤収。
 負のスパイラルから脱却し、今月の目標をクリア。そして目標以上の成果を収めた満足感と余裕から、帰路は冒険をしてみた。通常ならば、朝とは逆の上信越道から関越、圏央道、中央道を選ぶ。あるいは、清里経由で須玉から中央道でも走行距離は同じ180km。しかし、どちらも渋滞で4時間くらいは覚悟しなければならない。それならばと選んだ道は、しばしば「酷道」などと揶揄される十石峠を越えて、日航機墜落事故のあった上野村を通り、秩父、飯能を経由して国立へ帰る、佐久から自宅まで地図上で直線になる一般道だ。感想は一言。「やめればよかった!」

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コメント(6)

こんばんは~。
おー、やりましたね!
かなりの酷旅だったようで、お疲れ様でした。
その甲斐あって、出会えたこと、おめでとうございます。
やっぱりこのベルベットの翅は美しいです。
来週、先日連れて行ってくださった場所に、知人ともう一度行ってみようかと思っています。
アサギマダラの集団吸水、ゼフィルスのお写真も楽しみにしています。

こんにちは。
遠征はお疲れさまでした。
お目当ての貴婦人に出会えて良かったですね。
仰るとおりとても綺麗な色合いですね。
その昔の少年時代、私はSLの “貴婦人” と呼ばれるC57を追っかけたものでした。
花の貴婦人は何が相応しいでしょうかね。
雑木林には、貴婦人ではなく、 “雑木林の女王” と呼ばれるエゴノキがあります。

こんにちは。
強行軍のドライブ、お疲れになったことでしょう。
でも負のスパイラル?から脱却されて素晴らしい成果を
納められて満足していらっしゃるとのこと、良かったですね。
100%とはいかないまでもそのお気持ちが理解できます。
何か目標にしていた探し物が見つかり、納得のいく写真が
撮れるというのは撮る対象が違いますけれど、経験したことがあります。
キベリタテハ、あずき色のベルベットのような光沢があるとのこと、実際に見てみたいですが、アサギマダラのように簡単には
見られないのでしょうね。
ゼフィルスもお撮りなれたとのこと良かったですね。
残暑厳しいので体調にお気を付け下さい。

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