クロシジミ(Niphanda fusca)は、シジミチョウ科ヒメシジミ亜科に分類される。幼虫は、若齢のうちは、草上でアブラムシの分泌物をなめて育ち、大きくなるとクロオオアリによってその巣に運ばれ、アリに口移しでエサをもらって育てられるという。シジミチョウの仲間で特定のアリの巣で生活するものは、本種を含めて3種類、キマダラルリツバメ(ハリブトシリアゲアリ)とゴマシジミ(シワクシケアリ)が知られている。
クロシジミは、本州から九州、対馬にかけて分布するが、生息地は局所的で、全国的に極めてその数を減らしている。環境省カテゴリでは、絶滅危惧ⅠB類(EN)にランクされ、神奈川県、埼玉県、四国では絶滅、その他、本州と九州のほとんどの都府県で絶滅危惧Ⅰ類にランクされている。
8月5日、キリシマミドリシジミを撮影後、富士山を半周して中央道で帰る予定だったので、その途中、休憩も兼ねて湿原に寄った。ハラビロトンボとウチワヤンマを確認したのみで、他には何もいない。ダラダラと歩いていると、翅がボロボロのシジミチョウが草の上を懸命に飛んでいた。これまで見たことがない模様のシジミチョウに思えて撮影したが、モニターで確認するとムラサキシジミ???現像もせずにそのまま放置。しかし後日、たまたま目にしたクロシジミの写真で思い出し確認すると、クロシジミであることが判明した。撮影した富士宮市においては、平成23年3月1日施行の富士宮市自然環境の保全及び育成条例の「特定希少野生動植物」に指定され、採集が禁止されている。
クロシジミ
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 200(撮影地:静岡県富士宮市 2012.08.05)
クロシジミ
Canon EOS 7D / SIGMA MACRO 50mm F2.8 EX DG
絞り優先AE F8.0 1/160秒 ISO 200(撮影地:静岡県富士宮市 2012.08.05)
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