キマダラルリツバメ(Spindasis takanonis)は、シジミチョウ科に属するチョウで、唯一日本のチョウの中で4本の尾状突起をもつ種である。また、その生態も変わっていて、卵から孵化した幼虫は、松や桜の古木に棲むハリブトシリアゲアリの巣に入り、蛹になるまでの間、アリに口移しで養分をもらい成長すると言われている。岩手県、福島県、栃木県の一部とそれ以西に局地的に分布し、東京近郊では、神奈川県相模原市に生息、県の天然記念物に指定されている。環境省カテゴリでは準絶滅危惧の扱いであるが、生息地多くで絶滅危惧Ⅰ類、もしくは絶滅危惧Ⅱ類としている。
福島遠征の目的は、このキマダラルリツバメを撮影することであった。専門家の方の案内でキマダラルリツバメが飛来する場所へと進む。午後16時頃にならないと飛んで来ないという。しばらく、草地の中で待機していると、どこからともなく飛んできて、葉の上に止まった。ゼフィルスに比べるとかなり小さく飛ぶのも早い。一度、飛び立つと、目で追いかけるのも大変だ。
16時半を過ぎると、止まった葉の上で翅を開き始めた。虎模様の翅裏からは想像もできない青紫色が印象的だ。強い西日で綺麗な色が上手く写せなかったのが残念だが、走行距離710km、24時間(42時間不眠)にわたる福島遠征を締めくくるに相応しいこの出会いに感謝したい。勿論、初見、初撮影の種である。
以下、生息地にあった掲示板を書き記しておく。
三島町指定 重要文化財 天然記念物 キマダラルリツバメ
鱗翅目シジミチョウ科に属するチョウ一種で、東北地方では岩手県と福島県に分布するが、本県では三島町の特産種。
成虫の大きさは開張二センチ、後翅の尾端の二本の突起を有する珍しいチョウで、年一回、六月中旬~七月上旬頃出現する。幼虫はアリの一種ハリブトシリアゲアリの巣中で全期間を経過し、アリに給餌されて生長する。
三島町産が、spp.septentrionalis と呼ばれるが、近年の研究では関東及び関西亜種と同一タイプも混棲しており、東北亜種とこれら産地の中間産地として学術上重要である。このため町内全域での採集を禁止し、生息地の保全をはかっている。
昭和五十七年四月
三島町教育委員会
キマダラルリツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200(撮影地:福島県大沼郡三島町 2012.06.30)
キマダラルリツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250(撮影地:福島県大沼郡三島町 2012.06.30)
キマダラルリツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400(撮影地:福島県大沼郡三島町 2012.06.30)
キマダラルリツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 320(撮影地:福島県大沼郡三島町 2012.06.30)
キマダラルリツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 500(撮影地:福島県大沼郡三島町 2012.06.30)
キマダラルリツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 500(撮影地:福島県大沼郡三島町 2012.06.30)
こんばんは。
キマダラルリツバメ、綺麗な色ですね。
初めの2枚ではなぜ「ルリ」の名がつくのかと
思ったのですが、羽を広げた時の色が
黒、瑠璃色、オレンジ色と三色が
バランス良く配色されていて素敵です。
42時間不眠と書かれていてびっくりしました。
貴重なチョウを撮影することがおできなって
本当に良かったですね。
珍しいチョウを見せて頂きありがとうございました。
こんにちは。
これはまた綺麗な瑠璃色ですね。
遠くでも会いに行く気持ちがよくわかります。
ツバメという名前が付くんですね。面白いです。
多摩NTの住人様、こんばんは。
キマダラルリツバメの翅表は綺麗ですが、正直言って、私的には多摩NTの住人様が撮影したムラサキシジミの方が、色が綺麗だと思います。しかし、絶滅危惧種であり生息地もかなり限られていることと、その生態の面白さに魅力を感じ、遠く福島まで行った次第です。
ちなみに、シジミチョウで翅に尾がついているものの多くに、○○ツバメという和名が付いています。ムラサキシジミの仲間で尾が付いているチョウに、ムラサキツバメという種類がいます。
granma様、こんばんは。
チョウは、翅の表と裏の色が全然違って、表の方が綺麗な種類が多いですね。
3つ前の記事の「ミドリシジミ」は、宝石のようです。
キマダラルリツバメは、かなりの希少種であることから、是非撮りたいと思っておりました。金曜は4時に起きて会社に出勤、帰宅後そのまま徹夜で福島入りし、土曜は1日歩き回って撮影し、22時に帰宅しましたので、結局42時間不眠で遊んでおりました。それで、日曜日は、4時に起きて埼玉まで宝石のような「ミドリシジミ」を撮りに行きましたので、家族からも見放されている状態です。