ムカシヤンマ

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 ムカシヤンマ(Tanypteryx pryeri)は、ヤンマと名がついているが、ヤンマ科ではなくムカシヤンマ科に分類されているトンボで、 2010年5月に撮影して掲載した「生きた化石」 ムカシトンボと同じく、形態に原始的な特性を持つ種である。(本種は「生きた化石」とは言われていない。)体長は80mmほどあり、止まり方は、翅を広げたまま張り付いた格好で止まる事が多い。木やコンクリートなどの白い部分を好んで止まるようである。
 ムカシヤンマの生態は変わっていて、幼虫(ヤゴ)は、水がしたたり落ちてゼニゴケなどが一面に茂っているような崖にトンネルを掘って棲んでいる。幼虫は水に入ることはほとんどなく、成虫になるのに約3年かかると言われている。
 日本固有種のムカシヤンマの生息分布は、全国でも極めて局所的で、東京都においては、絶滅危惧ⅠB類にランクされ数か所のみで確認されている。ゲンジボタル同様に環境の指標となる「指標昆虫」であるが、人々にも手堅され手厚く保護されるゲンジボタル以上に貴重な存在である。

 ムカシヤンマは、ムカシトンボやアオヤンマ同様に、私にとっては憧れであり幻の存在であった。昨年も探したが見ることが出来ず、今シーズンの目標の1つであったが、ようやく確実な生息場所を見つけ、2時間待機。雨が止み、気温が上がって日が差し始めた午前11時半。白い木の柵に止まったムカシヤンマを発見。今回が、初見、初撮影である。オニヤンマほどの大きさだが、動作は鈍い。飛び立つときは、バサバサという感じの羽音をたてていた。谷戸をゆっくりと飛ぶ様は、太古の森を飛ぶメガネウラを想像させるものだ。

 台風第4号が、6月19日23時現在、東海や関東甲信などを暴風域に巻き込みながら高崎市付近付近を通過中。昆虫たちは、無事だろうか?

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ムカシヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200(撮影地:東京都西多摩郡 2012.06.17)

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ムカシヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 400(撮影地:東京都西多摩郡 2012.06.17)

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ムカシヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200(撮影地:東京都西多摩郡 2012.06.17)

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ムカシヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 250(撮影地:東京都西多摩郡 2012.06.17)

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ムカシヤンマ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 320(撮影地:東京都西多摩郡 2012.06.17)

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