ヒメギフチョウ(Luehdorfia puziloi)は、アゲハチョウ科・ウスバアゲハ亜科に分類されるチョウ。2年前に相模原市にて ギフチョウを撮影しているが、形態的には、前翅のいちばん前方外側の黄白色の斑紋がずれず、他の斑紋と曲線をなしている点や尾状突起が短く先がとがっている点がギフチョウとは異なっており、大きさも少し小さい。また、ギフチョウとヒメギフチョウの分布は明確に分かれており、この2種の分布境界線はリュードルフィアライン(ギフチョウ線)と呼ばれている。この2種は、一年に一回、春先だけに発生するスプリング・エフェメラルだが、幼虫はカンアオイやウスバサイシンの葉を食べて6月下旬にはサナギになる。そして夏・秋・冬をサナギのまま過ごすという一生である。その生態から、氷河期の頃から地球環境の変化に耐えて生き残ったと考えられており、地史的にも興味深いチョウである。
今回は、春の舞姫とも呼ばれるヒメギフチョウを撮影するために、関東地方では唯一の生息地である群馬県渋川市赤城町にあるモロコシ山(標高1,183m)に行ってきた。
赤城のヒメギフチョウは、地元保護団体からは「赤城姫」という愛称で呼ばれ、特にモロコシ山の山頂付近に多く生息しており、昭和61年に「群馬県指定天然記念物」に指定され保護されている。
午前5時半に出発し、赤城キャンプ場に7時半着。8時より登山開始。当初、麓辺りを探索したが見当たらず、情報により標高差300mの山頂を目指す。山頂では北風で気温12℃前後、南斜面では風がなく、気温も20℃近くまで上がり、十数頭のヒメギフチョウが斜面を飛び、時折、スミレに止まっては吸蜜をしていた。食草のウスバサイシンは、標高800m 付近にも生えていたが、ヒメギフチョウは、より冷涼な場所を好むためか山頂付近が繁殖域となっているようである。
当ブログでは、撮影地の詳細を公表しないのが常である。これは、学術研究を目的としない心ない採集者から昆虫たちを守るためであるが、今回は、「天然記念物」であること、広く知られていること、また、公表することで里山環境の保全とヒメギフチョウの保護になると考え場所を記載した。
モロコシ山登山道
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F7.0 1/200秒 ISO 200(撮影地:群馬県渋川市赤城町 2012.5.13)
ヒメギフチョウの生息環境
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F7.1 1/160秒 ISO 200(撮影地:群馬県渋川市赤城町 2012.5.13)
ヒメギフチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/400秒 ISO 200(撮影地:群馬県渋川市赤城町 2012.5.13)
ヒメギフチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:群馬県渋川市赤城町 2012.5.13)
ヒメギフチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 200(撮影地:群馬県渋川市赤城町 2012.5.13)
ヒメギフチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F6.3 1/320秒 ISO 200(撮影地:群馬県渋川市赤城町 2012.5.13)
ヒメギフチョウ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/320秒 ISO 200(撮影地:群馬県渋川市赤城町 2012.5.13)
ヒメギフチョウ(麓のいた1頭で左後翅が全損していた。)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
絞り優先AE F7.1 1/400秒 ISO 200(撮影地:群馬県渋川市赤城町 2012.5.13)
4枚目の写真とてもいいですね。バックに花のボケもあってきれいです。
こんばんは~。
お待ちしておりましたよ(笑)
色んなカットを撮られていたんですね!
羨ましい。
どれもこれもヒメギフチョウらしさが漂っていて、
あの山の光景が目に浮かぶようです。
ギフチョウより撮影しづらかったと思いますが、
だからこそ写真の価値があるってもんですね。
この子たちには毎年会いに行きたくなりますね。
Udagawa氏、こんばんは。
ヒメギフチョウ、初見、初撮りです。
スミレになかなか止まってくれず、止まってもすぐに飛んでいってしまうので
苦労しましたが、ヒメギフチョウらしい写真が撮れたかなと思っております。
うっすさん、こんばんは。
構図、露出、絞りなど、まだまだ課題の多い写真ですが、休日と天候とヒメギフチョウの発生時期が上手く重なった奇跡のような1日だと思っております。