夏らしい風景写真を撮りたいと思いつつ、撮れない日が続いていた。
中央道諏訪ICを降りて北八ヶ岳へ向かう時、茅野の信州らしい農村風景の背後に、夜明け間近の八ヶ岳連峰が雄大に広がっていた。さわやかな空気と静寂、青々とした夏の山々、実に美しき光景に車を止めて見入ってしまった。写真を撮ろうと思ったが、撮らなかった。誰でも感動する風景ではあるが、この景色を何人の人々が見ているのか?茅野市に住む大勢の方が見ているに違いない。それに、私の知らない風景を毎日見てもいるだろう。今、この八ヶ岳を撮っても、私の記念写真にしか過ぎない・・・
気が付けば、残暑厳しくとも既に9月。本格的な夏は過ぎてしまった。無理やりではあるが、夏山を撮ってみた。
写真は、山梨県甲州市の黒岳中腹を登山道の湯ノ沢峠から眺めたものだが、朝日の斜光に輝く緑と谷の陰になる緑が、大月方面から流れてきた雲と温度の違う空気によって更に美しかった。
山だけでなく、空気、光、木々の緑、そして白い雲、山水画の理論家である郭煕の山水訓にある「夏山蒼翠而如滴」(夏山蒼翠にして滴るが如く)美しさに満ちていた。
ちなみに、「春山淡冶而如笑」(春山淡冶にして笑うが如く)はこちら、春紅葉
山滴る/黒岳
Canon 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F10 1/320秒 ISO 200(撮影地:山梨県甲州市 2011.9.11)
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