2008年から毎年訪れている山梨県のヒメボタル生息地。今年、秩父は例年よりも1週間ほど遅い発生であったが、山梨は例年通りのようだ。ただ、まだメスの発生が見られないので、ピークはもう少し先のようだ。
秩父のヒメボタルは謎が多いが、ここのヒメボタルも謎が多い。陸生の貝がほとんど見つからないので、幼虫が何を食べているのか分からないのである。引き続き、調査研究しようと思う。
掲載のヒメボタルの写真は、2枚目を除いては、世間で行われているcomposite写真(多重合成)であり、ホタルの生態学的観点からは、全く価値のないデジタル写真である。しかしながら、1つだけ良い点がある。フィルムでは、相反則不軌の影響で感度の低下と色再現性の低下がある。そのため、かなりの長時間露光と色補正が必要であるが、どうしてもヒメボタル特有である黄金の発光色が出ない。その点、デジタルでは、見た目と変わらないヒメボタルの発光色が再現できる。掲載の写真は、悪戯に合成枚数を多くし芸術性も欠く写真にしてみたが、節度ある枚数を重ねれば良いというものでもない。合成したカットの露光時間を合計すれば、5分~6分になるが、フィルムで5分~6分露光したものとは、全く内容が違う。なぜなら、デジタルはインターバルで撮るが、1カットずつの間に1~2秒の時間の空きが入るし、ホタルの光は写っているカットだけ合成するから、時間に連続性がない。フィルムは、連続した5分~6分を1枚に凝縮したものだが、 デジタルは、10分以上の時間内で美味しい所だけをかいつまんでまとめたものだ。ホタルの光がたくさん写るから分かりにくいが、実は、ホタルの発光飛翔の流れがコマ切れだ。そういった意味で、ホタルの生態学的観点からは、全く価値がないのである。基本は、フィルムと同様の撮り方をするべきであり、そうすることが、ホタル研究者でありホタル写真家である。
ヒメボタル
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
バルブ撮影 F1.4 15秒×25枚合成 ISO 400 (撮影地:山梨県南都留郡 2011.7.16)
ヒメボタル
Canon EOS 7D / SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM
バルブ撮影 F1.4 4秒 ISO 400 合成なし (撮影地:山梨県南都留郡 2011.7.16)
19時15分、1番ホタルが光り始め、その15分後に飛び始める。
ヒメボタル
Canon EOS 7D / SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM
バルブ撮影 F1.4 5秒×60枚合成 ISO 400 (撮影地:山梨県南都留郡 2011.7.16)
こんばんは~。
山梨にお出かけでしたか。お疲れ様でしした。
いいタイミングでヒメボタルに出会えて、成果があってよかったです。
2枚目が実際に目で見た感じに近いのでしょうか。
1枚目、3枚目は生物観測の観点ではマイナスなのかもしれませんが、
見るとインパクトありますし、これはこれでひとつの作品だと思います。
実際にこんなに飛んでいたら、ちょっと恐怖かも(笑)
うっすさん、こんにちは。
ホタルの合成写真は、生態学観点からは価値がなくても、1つの作品には違いありませんし、フィルムでは写せない色が表せます。最近では、合成とそうでないもの両方を撮影し、合成は、「合成」を表記するようにしています。
2枚目の写真は、露光時間が4秒で、しかも1匹が飛び始めたところです。
実際は、さすがに合成ほどはいませんが、人間の視野は広いので、あちこちでピカピカという感じです。
ただ、ピーク時は、ホタルに取り囲まれる感じになります。幻想的の一言です。