ムラサキツバメ(Narathura bazalus)は、ムラサキシジミに似ているが、本種がわずかに大型であること、後翅に尾状突起があることで区別できる。もともとは西南日本でしか見ることができなかったが、1990年代頃から生息域が北上し、関東でも普通に見られるようになってきた。これは、温暖化の原因の他に、食草であるマテバシイが街路樹や庭木として盛んに植樹されていることが関係していると考えられる。本来は照葉樹林に生息するものだが、関東では、マテバシイが植えてある都市公園でも見ることができる。
翅の裏面は、オスメスとも薄い褐色で、色の濃い斑紋が数個並ぶが、オスの翅の表側は、見る角度によっては翅全体が暗紫色に見え、メスは鮮やかな紫藍色の模様があり、周囲を黒褐色で縁取られている美しいシジミチョウである。
ムラサキツバメは、集団越冬することでも知られている。何匹ものムラサキツバメが葉の上に集まり越冬するのだが、寒さが厳しくなると散らばって個々に越冬するようである。
今回、撮影に行った場所では、葉の上に数匹が集まっているのを観察することができた。越冬するには、まだ時期が早いと思うが、面白い行動である。実験的に木を揺らしてみると、それぞれ散り散りに飛んでいったが、数分すると、また同じ木のほとんど同じ葉の上に集まってきた。その理由は分からないが、ムラサキツバメが気に入っているのか、寄せ付ける何かがあるのだろう。
木の幹に名前を書いた札が掛けてあった。何と「カクレミノ」。カクレミノはウコギ科の常緑亜高木で、着ると体が見えなくなるという想像上の宝物の一つである「隠れ蓑」に葉の形が似ていることが名前の由来らしい。 ムラサキツバメが、カクレミノで身を隠していたのも大変面白い。
ムラサキツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 3200(撮影地:千葉県習志野市 2010.11.13)
ムラサキツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 3200(撮影地:千葉県習志野市 2010.11.13)
ムラサキツバメ
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/200秒 ISO 3200(撮影地:千葉県習志野市 2010.11.13)
ムラサキツバメ(オス)
Canon EOS 7D / TAMRON SP AF70-200mm F/2.8 Di LD (IF) MACRO
絞り優先AE F8.0 1/250秒 ISO 1600(撮影地:千葉県習志野市 2010.11.13)
多摩市でもムラサキツバメが増えました。近くの公園では集団越冬も見られます。4年前にこの地に引っ越してきたのですが、その頃よりもよく見かけます。
蛇足ですがムラサキツバメの♂と♀の解説が逆では?
久保田様、コメントありがとうございます。ご指摘の通り雌雄の特徴を逆に書いておりました。訂正いたしました。