東京都における今年2010年のゲンジボタルの発生は、例年よりも1週間から10日遅くなっている。(千葉県勝浦市でも同様の結果であった。)いつもなら発生のピークを迎えて、多くのゲンジボタルが飛び交う場所でも、まだ6匹のオスしか発生しておらず、しかも羽化して地上に出てきたばかりで、ほとんど飛ぶことがない状況にある。
この原因は、蛹になるための上陸が遅かったことにある。例年では、5月上旬のゴールデンウィーク中に上陸しているが、今年は雨が降らず、上陸したのは5月11日であった。上陸は、日長時間、降雨などの条件が揃わないとならないが、今年は、上陸時期になっても雨が降らず、上陸が遅れたのである。また上陸後は、積算温度によって蛹化までの期間が決まるが、発育零点8.02℃とすると有効積算温度が408.4日度を越えなければ羽化しない。本年のデータを当てはめてみると、計算上でも、ようやく羽化し始める結果になる。メスの発生は、オスよりも10日前後遅く、その頃が発生のピークであるから、東京都青梅市K地区における2010年のゲンジボタルの発生ピークは、6月30日頃と思われる。
ただし、陸生のホタルにおいては、蛹化のための上陸はなく、降雨とも関係がないため、発生は平年並みである。また、ゲンジボタルでも、幼虫を養殖飼育し放流している場所は、幼虫の体内時計が異常なために、自然発生地よりも早い傾向にある。
ゲンジボタルの飛翔
Canon EOS 5D Mark2 / Carl Zeiss Planar T* 1.4/50 ZE
絞り優先AE F1.4 15秒 ISO 400(撮影地:東京都青梅市 2010.06.17)
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