トウキョウサンショウウオの産卵が本格的に始まった。トウキョウサンショウウオは、丘陵地の谷戸の小さな湧水とその周辺の雑木林を生息場所としており、一生を水中で生活するオオサンショウウオ等とは異なり、普段は水場近くの雑木林の林床で、落ち葉の下のミミズ等を食べて生きている。そして3~5月の繁殖期にだけ、湧水の溜まった池や小さな流れに入り、クロワッサン状の一対の卵嚢を枯れ枝等に産み付ける。今年、東京では10日あたりから産卵が始まったようで、この日、2つの池で10対の卵嚢が確認できた。
トウキョウサンショウウオは、年々、生息数が激減している。1998年の市民ボランティアによる調査では、200カ所の産卵場と約5,000の卵嚢が確認されているが、これは、1匹のメスが1対の卵嚢を産卵し、またオス:メスの性比が3:2であることから、東京都全体でおよそ6,000匹(成体)しか生息していないことを指している。また、昨今では、人為的に離されたアライグマによる食害が報告されている。産卵のために水中に入った成体をアライグマが次々に食べてしまうのである。卵嚢を確認したこの日も、後ろ足と尾を残して食べられたトウキョウサンショウウオのメス成体を1匹発見した。里山の放棄放置による環境悪化、里山そのものの大規模開発による環境破壊、ゴミの不法投棄による有毒物質の流失等、これまでの減少原因を保全条例の制定やボランティアの努力で克服しても、次には人為的に離されたアライグマによる食害、或いは売買のための乱獲等々の新たな問題が浮上する。すべて我々人間の行為によるものだ。繁殖個体群の動態シュミレーションにより50年後にも95%の確立で存続するためには、最少存続可能個体数(MVP)はメス100頭であるという研究結果があるが、現在の状況では、絶滅する確立が非常に高い。これは、トウキョウサンショウウオに限ったことではない。カエルにとってはツボカビ病も驚異となっているし、イモリ、ホトケドジョウも絶滅危惧種だ。ホタルをはじめとする里山に生息する水生昆虫も、人間の都合によって消えていく。ホタルは、保護の対象として取り上げられているが、タガメやゲンゴロウは、既に東京にはいない。
Canon EOS 10D / SIGMA 28-80mm F3.5-5.6 ASPHERICAL MACRO
絞り優先AE F5.6 1/320秒 ISO 800(撮影地:東京都あきる野市 2010.03.06)
Canon EOS 10D / SIGMA 28-80mm F3.5-5.6 ASPHERICAL MACRO
絞り優先AE F5.6 1/200秒 ISO 1600(撮影地:東京都あきる野市 2010.03.06)
Canon EOS 10D / SIGMA 28-80mm F3.5-5.6 ASPHERICAL MACRO
絞り優先AE F5.6 1/125秒 ISO 1600(撮影地:東京都あきる野市 2010.03.06)
Nikon F Photomic FTN / 50mm F1.4(撮影地:千葉県勝浦市 1979.03)
Nikon F Photomic FTN / 50mm F1.4(撮影地:千葉県勝浦市 1979.05)
古河義仁様、こんばんは。
このところ、絶滅危惧種を気にしております。
このブログにて、とても学んでおります。
貴重な自然を大切にしたいです。
今後もおじゃまさせていただきます。
nomu様、コメントありがとうございます。梅のお写真が綺麗ですね。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。