車での移動中、自動販売機で缶コーヒーを買うために停車。何気なく車道脇の畑を見ると、小さな池があった。池というより水たまりに近い。好奇心に駆られて近寄ってみる。人為的に造ったと思われる2m×2mほどの池は、底は泥で枯れた落ち葉が多く堆積している。しかしながら、雑木林からの湧水が絶え間なく注がれ、池を通って1.5m程下のせせらぎへと流れ込んでいるために、水は澄んでおり、それほど冷たくもない。こんな池の底や落ち葉に、何と大小さまざまなサイズのカワニナが無数にいるではないか。カワニナといえば、ゲンジボタルの幼虫が食べる水生の巻き貝であり、ホタルの繁殖には欠かせない。それにしても、かなりの数である。カワニナにも多くの種類があり、また同じ種類でも生息環境がかなり異なっていることがある。底質や水質は、谷戸田やハケのカワニナ生息地に酷似しているが、大きく違うことは畑の野菜くずや農家の残飯などが多く入り込むことである。カワニナの繁殖にはアミノ酸が必須であるから、ここのカワニナの繁殖源は、これら有機物(デトリタス)を分解する大量の微生物であると思われる。また、大量の有機物が存在しても常に新鮮な湧水が流れ込むために、水質が悪化することがない。そして、この湧水は冬場でも低温にはならず、この場所も1日中日当たりがよいために、カワニナが大繁殖していると思われる。ただし、この場所はゲンジボタルが生息できる環境ではない。そして、このカワニナをホタルの棲む渓流に移動させても繁殖はしない。このカワニナは、この場所だからこそ生きているのである。
毎年3月になると、ホタル幼虫の放流が各地で行われる。水槽で大きくなるまで過保護に飼育した幼虫を河川やビオトープに放流する。それと同時に、どこから仕入れたのか分からないが、これまた大量のカワニナも放流する。どちらも、違った環境で育った(育てた)ものを人間の自己満足のためだけに放つ。ホタルもカワニナも生きていけるわけがない。
Canon EOS 5D Mark II / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
Canon EOS 5D Mark II / TAMRON SP AF90mmF/2.8 Di MACRO1:1
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